世界をちょっと良くしてみようかな、という取り組み
タイトルでは”世界を~”なんて大きな主語で始めてみましたが、実際にはもっと狭いところでまずはワインを取り巻く世界を良くするための小さな挑戦ををしてみようかな、というお話です。世界の片隅で細々ワインを造っている身には世界なんて大きすぎて担えませんし、どうせ良くするなら自分の生息している世界から、ということです。
今、日本ではワインはブームです。たぶん。新規のワイナリーの設立は多く、JSA (日本ソムリエ協会) が主宰している各種試験に挑戦する人は多いです。たぶん。みんながワインというどことなくセレブリティを感じさせる気がするアルコール飲料に興味をもち、情報の検索を通して勉強しようとしています。素晴らしいことだと思います。
そんな事情を背景に、ワインに関する情報はいまやインターネット上をはじめとしてあらゆるところに溢れかえっています。まさに玉石混交。難しすぎて分からないこともあればトンデモなさ過ぎて理解できないことまで様々です。まだ勉強を始めたばかりであれば何もかも知らないことばかり。どんな情報を見ても、へぇ、そんなことがあるんだ、そうなんだ、と納得できたことも、知識を増やしていくに従って、
おいおい、それは本当なの?
おいおいおいおい、それは違うだろ!
おいおいおいおいおいおい、さすがにそれは嘘やん!!
みたいになっていくことはたぶん、ワインを勉強していらっしゃる方々にとってのあるあるです。
ここでこのようなことを「あるあるだ」と判断できるのであれば問題ありません。正しく判断できる知識がある、ということの裏付けでもあるので、むしろ丁度いいリトマス試験紙と言えるかもしれません。
ただ不幸なのは、この「あるある」を「あるある」だとは理解できないうちに信じ込んでしまい、自信をもって人前で披露したらとんでもない恥をかいてそのままワインを嫌いになってしまう、なんて経験をしてしまうことです。こうした赤っ恥もいい経験、なんて言えるのはごく一部の強い方々だけで、普通の人はそんな風には思えませんし、なによりも不要不急のワインの知識ですからそんな想いをしてまで勉強なんてしたくない、と思ってしまってなんの不思議もありません。少なくとも私ならサクッと別のところに行きます。恥かくの基本的に嫌いなので。現在進行形でかきまくってますけどね、それも大恥、赤っ恥を大量に。
恥の話は置いておいても、間違った方の情報を判断基準にしてしまって正確な方の情報を排除してしまうようなケースもあるかも知れません。
本当に不幸なことです。ワインを知りたい人にとっても、ワインを広めたい人にとっても。
そんな中で、発信内容の正確性を上げていこう、という取り組みを始めようとされている方が一部で話題になっています。素晴らしい取り組みだと思います。筆者のTwitterをご覧いただくと、そのやり方や方向性に対していろいろごちゃごちゃ言っているのを目にされると思うので、反対派なのかと思われてしまうかもしれませんが、基本的には賛成派です。ぜひ良質な情報の総量を増やしていただきたいと思っています。
その一方で思うのが、インターネットの特徴として一度発信された内容はいつでも掘り起こされますし、なんならその掘り起こされた情報が新しく投稿された正しい情報よりも信頼性が高いものとして検索エンジンに判断され、せっかく頑張った正確性の高い情報がこれに埋没していく、なんてことも日常茶飯事だよね、ということです。
筆者自身がまぁ、それなりに情報の発信というやつをやってきてみたのでこの辺りはもう、嫌になるほど分かっています。なぜ、自分の「正しい」情報がこんな嘘ばっかやん!な情報に検索順位で大きく水をあけられているのかと、人知れず枕を濡らしたことは、、、まぁ、ありませんが。それでもやはり気に入らないですよね。なにしろ相手は嘘やん!!なわけですから。でも、それが現実なわけです。いくら個人が憤ってみてもGoogle様に喧嘩を売って勝てるわけがありません。
そうなると必要になってくるのが、新規の発信の正確性を引き上げていくのと同時に、今ある既存の情報をどうにか正しくしていくことです。むしろ、個人的にはこっちの方が大事な気がします。
そういう意味では新しく情報を発信したい皆さんが独自コンテンツに拘らないで、片っ端から嘘やん!!な情報を引き合いに出して訂正する記事を書いていけばいいと思うんですが、まぁ、きっとそうはならないと思うんです。やっぱり「自分が」やる以上は「自分の」内容にこだわりたいじゃないですか。独自性の魅力、というやつです。分かります。本当によく分かります。
ならまぁ、出来る人間がちょっとしたファクトチェックがてらにやっていくのがいいのかな、と。
そして出来ればそうして書かれた修正記事を新しく正確な記事を広めたい皆さんが頑張って拡散してくれればいいのかな、と。世の中に正しい情報を広めたい、という目的が一緒なのであれば記事の拡散くらいは協力してもいいかな、と思ってもらえるんじゃないかと思うんですよね。別に競合しているわけでもないし。そしてそうすれば、ファクトチェックして勝手に修正記事を書く側も少しは書くことに対するインセンティブが働くんじゃないかと思うわけですよ。
ただ、勝手に修正記事を書くといっても個別のサイトや記事を晒し者にするような行為はやっぱりいただけないですし、単なる釣り記事的なものにまでいちいち反応していては疲弊するだけで先に広がるのはぺんぺん草1本生えない不毛の荒野ですから、これはダメだと。じゃあどうするか。一つは、正しい情報を広めたい皆さんがどこかしらで見かけた、こんなん書いてあるんだけど本当のところはどうなの?という投げかけをしてくれることです。
投げかけられた側はそれを精査して、そしてそのうえで、その記事に対して、ではなく、その主張に対して正しい方向性の記事を書く。これが健全な道な気がします。その場合も「どこそこにこう書いてありましたがこれ間違いです」、ではなく、「世の中こういう誤解があるようですけどね、それは実際にはこれこれこうなんですよ」、と。
この場合、勝手に修正記事を書く側は正しい情報を広めたい皆さんが書きたい未来の記事のファクトチェックをするわけではありませんし、彼ら彼女らの記事やネタを横取りするわけでもありません。既存の記事に対して反応するだけですし、それさえして欲しくなければそもそも勝手に修正記事を書く人に対してそういう投げかけをしなければいいだけです。これ、世界の健全化を図るもの同士で共存できるんじゃないかと思っています。
ちなみに勝手に修正記事を書く側はもちろん、自分の個人裁量と責任の範疇で正確性を担保するので、この記事どうなん?と問いかけた側が何かしら責任を負う必要はありません。
ちなみにここまでは便宜上、正しい情報を広めたい皆さんが投げかける、と書いてますが、別に誰でもいいんです。どこそこでこんな記事を見かけたんだけど、これ信じて大丈夫?と気楽に聞いてみる、そんな感覚です。
もちろん、勝手に修正記事を書く側は記事を書くことが義務ではありませんから、興味がなければ投げかけを華麗にスルーしてもいいですし、そのことを責められるべきでも当然ないです。あくまでも善意の行動です。強制してはいけません。強制するならきちんと対価を払いましょう。
世の中、出来ることなら少しはよくしたいし住みやすくしたいとは思うけど、だからって肩ひじ張って目を皿のようにして、というのは趣味ではない、という人多いと思います。私もそうです。なので、強制力なんて欠片もない緩い自由気ままなサークル的に活動しましょうよ、と。
そういうことです。
で、とりあえず言い出しっぺなので私が勝手に修正記事を書くお役目の一端を担います。少なくとも私自身はそれがある程度は出来る立場にいますし、いろいろ気になっていたのは事実ですし。自分のできることで世界が少しは良くなるならまぁ、やっとこうかな、という感じです。
でもこれまで書いてきたように、私が頑張っておかしな記事を探して勝手に修正して、なんてことはしません。私は醸造家であっても自己犠牲精神の旺盛なエンターテイナーではありませんので、そこまではやりません。最低限、投げかける役目を担う人が必要です。不特定多数で。投げかけられなければ私も打ち返しませんし、そのままひっそりと何もなかったことになるだけですのでご了承下さい。
ちなみに面白いテーマが投げかけられた時には、別途私が主宰しているサークルに参加してくださっているメンバー間での話題にしたいと思います。きっとエキサイティングな意見交換が出来ることでしょう。
記事のネタになって、書いた記事が拡散してもらえて、しかもサークル内でのトピックスになる。なんだか私ばかりが美味しい目を見ているように思われるかもしれませんが、そう思った方、ぜひ勝手に修正記事を書く側として名乗りを上げてください。みんなでやれば、それだけ世の中は速くよくなっていきます。あくまでも、たぶん、ですが。
疑問の投げかけは、Twitterでもこの記事のコメント欄でも直接のメールでもなんでも結構です。とりあえず、今この瞬間から受付を開始してみます。
なにも来なければ、まぁ、それはそれでこのお話は終了です。逆に増えたらなんかいい方法をその時考えます。行き当たりばったりです。
なお、こんなある意味であほなことを考えた私が主宰するサークルでは随時メンバー募集中です。
今でもかなりホットな意見交換が出来ていると思っていますが、今回の件でもしかしたら今よりももっともっと面白い取り組みもできるようになるかもしれません。興味を持っていただけた方はぜひ一度、覗いてみてください。
サークルメンバーの方はサークル内で行われている各種テーマでのディスカッションにご参加いただけるほか、筆者への個別の質問や筆者の運営するサイト、Nagi's wineworldに掲載された全記事を自由に閲覧いただけます。提供される情報量はきっと多いです。
皆様のご参加を心よりお待ちしています。
▼サークルへの参加はこちらから
https://note.com/nagiswine/circle
ありがとうございます。皆様からの暖かい応援に支えられています。いただいたサポートは、醸造関係の参考書籍代に充てさせていただきます。