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有機栽培のお値段 | ブドウ栽培のコスト比較

最近は健康志向の現われなのか、エコロジックとも呼ばれる有機栽培が人気です。

この潮流はワインの世界にも届いており、有機栽培で育てられたブドウから造ったワインじゃないと取り扱わない、とするワインのインポーターさんは日本にも多数いらっしゃいます。またこのエコロジックに対する考え方がより強くなった、自然派とも呼ばれるナチュラルワインなどは昨今、耳にする機会が増えているのではないでしょうか?


エコロジックもしくは有機栽培という考え方は元々は地球環境に対する負荷の低減を目的として行われているものであり、エコロジック = 健康志向ということは必ずしも成り立たないのですが、この辺りはかなり曖昧に認識されているところもあるようです。

そんな中、有機栽培にすると作業コストが高くなる、という話をよく聞きます。

消費者の方も健康にいいのであれば多少の価格の上昇は仕方ないこと、当然のこととしてこうした主張を受け入れる向きが強いように思います。一方で、実際にエコロジックの導入がどのくらいのコスト上昇につながるのかを知っているでしょうか?

今回はワイン用ブドウの栽培における重要な仕事の一つである、病気の防除に注目して、専門誌の記事に掲載されたコスト試算をもとにエコロジックのお値段を見ていきたいと思います。

病気の防除とは何か

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ドイツのワイナリーで現役の栽培・醸造責任者としてワイン造りに関わっているNagiが見ている視界や考えていること、ワイン造りのための技術などを発信していきます。 公開されている記事にだけ興味のある方はサークルに加入することなく、それらの記事をご覧いただけます。

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