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あの頃

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パッチワーク

パッチワーク

あなたが私を
手に入れたと思ったあの夜
私はあなたに
密かにさよならしていた
重なったのは体だけで
心はいつもちぐはぐで

甘えきった顔は
寂しさを隠すために
あなたが抱いた抜け殻を
燃やして捨てて
流して残して

50音

ただただ甘い
君の声
耳に残る
な行の音たち

ただただ名前を
呼んでいた
希望のような
絶望の音

容易くふた文字
綴ってた
愛してるなんて
欲しくないけど

どこにでもあるもの

どこにでもあるもの

深夜一時に
決まって鳴ってた
少し酔ったあなたの声は
幼い私にひどく響いた

あなたが私に与えたときめきなんて
どこにでもあるもので
驚くほど溢れかえって
自分のも分からないくらいに

それでも世界で一つの宝石みたいに
大事に磨いて
何度も眺めて
赤く赤く頬を染めた

呼び名を変えさせたその意図を
今の私なら分かるのに
見つめた瞳の温度を
今の私なら計れるのに

深夜一時に
決まって鳴った

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本当の

あの頃の私たちは
本当の愛なんて知らずに
ただがむしゃらに
欲しいものを手に入れてるだけだった
傷つくのを恐れずに
ただ互いに手を伸ばして
ただがむしゃらに
恋してただけだった

ノータイトル

思い返してみたら
君との思い出は
ほとんど何もなかった
ただこの10年くらいで
積もり積もった思いが
幻想を見させてるだけだと
そう気付いた