人生を変えるには、人、旅、本という幻想
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人生を変えるには、人と会う、旅をする、本を読むということが重要だという言説を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。
しかし私はこの言説は人にとって心地の良い言説でしかないと考えている。
今の現状に不満を持っていたり漠然と将来に期待や不安を持っている人たちにとってこの言説は、人生を好転させるためのわかりやすい手段として耳ざわりがいいものでしかないのではないだろうか。
そもそも人生というものは、多くの要素が絡み合い複雑で曖昧なものであるとするのが、人生を変えていきたいと思う人たちにとって妥当なものであり、それなのに複雑なものを明確にしていく労力のかかる作業を省き、簡単に前向きで意味のある作業をするという快楽を得ることができる幻想に耽っているだけになっている。
そもそも変えるとは何なのか、何が大切で何を求めていて何が目的なのか。
変えようとするものという意味で使う人生という言葉はどういう意味なのか。
もし変わるとしたらなぜ人、旅、本なのか、何が目的で何が本質なのか。
理解もせずただわかりやすい言説に耽ることは、受験勉強でこの参考書をやればこの大学に受かるといったわかりやすい方法論に頼る受験生や、ただひたすらに走り込みを繰り返すスポーツ選手と同じではないだろうか。
もし何か目的を達成したいと思ったり、人生を変えたいとかいうことを思うなら、わかりやすく心地良いありふれた言説に頼らず、意義や目的、自分が求めている対象それ自体とそれを実現する手段を明確にするという当然妥当な位置に立ち返ることが至極真っ当なことではないか。