なぜモミジやイチョウは秋になると紅葉するのでしょうか
2020年11月第1週の食とココロの処方箋。
先週は、生放送のゲストに呼んでいただきました。
生放送なんて初めてなので、何をお話ししたらいいのかドキドキしていましたが、パーソナリティーの林田さん、いつも聴いてくださるの皆さんのおかげで、あっという間の楽しい時間でした。
どうもありがとうございました。
またいつかお邪魔させてくださいね。
いろいろお話をして、産業医という職業もだいぶ知られるようになったのだなぁと改めて感じています。
ドラマの題材にもなっているそうで、時代は変わったものだとびっくりしています。
以前は「産業医」といっても、説明しないと全然伝わりませんでした。
この機会に産業医を身近に感じていただき、お勤め先に産業医がいるのであれば、気軽に相談できる存在になればいいなと思います。
番組の後半では、産業医の仕事のひとつ、ストレスチェックについてお伝えしていきます。
《コーナー①》
最初のコーナーは、「四季折々の食事と健康」。
この番組では、「医食同源」をテーマに、日本の四季と旬の食べ物・その季節にお勧めの食べ物を紹介していきます。
今週の暦です。
一年を24に分けた二十四節気と、さらに三分割して72に分けた「七十二候」をご紹介しています。
霜降(そうこう)
二十四節気は、霜が降り始める「霜降(そうこう)」。
七十二候は、11月2日から6日まで「楓蔦黄(もみじつた きばむ)」、草木が赤や黄色に染まって、紅葉が深まる時期。
「霜降」の最後の候となり、秋から冬に向かっていきます。
朝晩は冷え込む日が増えてきましたね。
台風が少なかった今年は、木や葉っぱの傷みが少ないそうで、美しい紅葉が楽しめそうです。
山間部では今が見頃のところも多いですが、都心部では11月下旬頃からが見頃。
遠出できなくても、都心部にもたくさん名所がありますよ。
東京駅前・丸の内や神宮外苑の銀杏並木、日比谷公園、代々木公園などは近くまで行ったら立ち寄りたい場所ですし、300円~500円の入園料があるところでも、新宿御苑、小石川後楽園、六義園、春先に菜の花の名所で紹介しました浜離宮恩賜庭園など、ゆったりした時を過ごせる所がたくさんあります。
わざわざ公園に行かなくても、駅までの道、職場までの道、よく見てみると、意外と身近に自然があることに気がつくかもしれません。
紅葉
紅葉といえば、モミジは欠かせない存在ですが、この名前、「揉み出る」という意味の「揉み出(もみず)」からきているそうです。
揉んで染め出す紅の色を「もみ」と言って、布が染められていくようにだんだんと赤や黄色に色づいていく様子を「もみいず」「もみず」と言うようになり、それが「もみじ」へと変化していきました。
以前、七十二候「紅花栄(べにばな さかう)」の回で紹介しました紅花染め。
紅花は、黄色の色素が大部分を占めていて、口紅の原料にもなる赤い色素はごくわずかなので、古来とても貴重なものとされてきました。
初めに花びらを水洗いして黄色の色素を揉み出し、赤の色素だけを残した花びらで紅餅を作るという工程があります。
この紅花染めが紅葉の語源になっていたとは知りませんでした。
なぜモミジや銀杏は秋になると紅葉(黄葉)するのでしょうか
ところで、なぜモミジや銀杏は秋になると紅葉(黄葉)するのでしょうか。
これは、葉に含まれている緑色の成分「葉緑素・クロロフィル」が減ってくることが関係しているようです。
モミジのように赤くなる葉の場合、クロロフィルが分解されて、葉に蓄積された糖分と赤色の成分の元になる「アントシアニジン」が反応して「アントシアニン」ができます。
銀杏のように黄色くなる葉には、もともと黄色の色素「カロテノイド」が含まれていますが、緑のクロロフィルが多い夏までの間は黄色が目立たず、秋になってクロロフィルが減ってくると黄色が目立ってきて、あの綺麗な黄色い葉っぱになるんですね。
アントシアニンやカロテノイドは、「フィトケミカル(ファイトケミカル)」と呼ばれ、健康維持という意味でも注目されている成分でもあります。
フィトケミカルは、「phyto=植物」と「chemical=化学成分」を合わせた言葉で、直訳すると「植物性化学成分」。
草木や野菜、果物などの植物に含まれる色素、香り、辛味や苦みのような化学成分のことです。
アントシアニンやイソフラボンのようなポリフェノール、β-カロテンやリコピンのようなカロテノイドなど、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
先週の生放送では、今の季節にお勧めの食材ということで「カボチャ」「柿」のような色の濃い野菜や果物を食べるといいですよ、とお伝えしました。
どちらもβ-カロテンが豊富です。
他にもお勧めのものはたくさんですが、ちょうどカボチャと柿が出てきたのは、パーソナリティーの林田さんの服の色がカボチャの色に似ていたからかもしれません。
実は私も、同じ色のストールでした。
来週も、フィトケミカルについてお届けします。
《コーナー②》
次のコーナーです。
ストレスチェック
今週は、企業で行われている「ストレスチェック」のお話です。
従業員が50人以上の職場では年に1回行うことが義務付けられています。
2015年12月に始まって5年が経とうとしていますが、皆さん受けているでしょうか。
夏~秋頃に行われる企業が多く、今ちょうどストレスが高いという判定になった方の面接指導をする機会が増えています。
一番の目的は、「メンタルヘルスの不調を未然に防ぐこと(一次予防)」とされています。
精神疾患による休職や退職、労災認定件数が増えている近年、この一次予防がより重要視されるようになりました。
二次予防は早期発見・早期治療、三次予防はリハビリと再発予防ということで、どれも大切なのですが、平均寿命も延びている現代では特に、健康増進や病気の予防といった一次予防が欠かせないものとなります。
心の健康状態は身体にも大きな影響を及ぼしますが、目に見えないだけに、早い段階で気づくのが難しいこともあります。
自覚がないままストレスが蓄積していることも少なくありません。
自分の状態に「気づく」ということは、とても大切なことなのです。
会社に知られたくないので、正直に答えるのをためらってしまうという声も聞きます。
ストレスチェックの結果は、本人の同意がなければ会社には知らされないことになっていて、プライバシーは守られています。
誰に見せるものでもなく、自分のために受けてください。
来週は、検査の内容や面接指導でどんなことを話すのかなど、より詳しい内容をお伝えする予定です。ぜひ聴いてください。
「食とココロの処方箋」は東京23区を中心としたレインボータウンFMで毎週火曜18:50-19:00オンエア中です。
産業医 櫻庭千穂
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