なにもないことが、寂しいのだと
先日、サンボマスターのライブに行った。
学生時代の部活動で、サンボマスターの曲が応援歌だった。新社会人になってからも、しんどい時期に、「輝き出して走っていく」という曲を何度も聞いた。
私の人生に、元気と勇気を与えてくれたサンボマスターの音楽を目の前で聴くことができた。
メンバーの名前や、ルーツを知っているわけではないし、全部の曲を知っているほどではない。
そんな中で、参加したライブは、サンボマスターの素晴らしさ、ロックンロールの素晴らしさ体感する時間となった。
ボーカルの山口さんは、ロックンロールを愛していて、すごく熱い人だった。曲の合間の山口さんの言葉には心が痺れた。
生まれてきてくれてありがとう。
未来を信じろ。
中学の時、勉強も運動もできない、女の子には見向きもされない、自分の人生はこれから何もいいことがないと思っていた時に、ロックに出会って、人生が変わったと話されていた。
東日本大震災で、地元の福島では、多くの人の魂が亡くなったことを仰られていた。
山口さんの言葉が響くのは、楽しいだけじゃないなくて、痛みを経験してきた過去があるからだと思った。
苦しさ、辛さ、寂しさ、孤独。
そういう痛みがある人は、人の心に響く思いを届けられるのだと思う。
一方、山口さんの熱い言葉を聞きながら、寂しさを感じた。
毎日働く場所があって、毎日定時に帰れて、毎月ちゃんと収入があって、快適に暮らせる場所も、健康な体もある。家族も、友人、周りの人たちも元気に過ごしていて、休日には好きなアーティストのライブにだって行ける。
すごく恵まれた環境で過ごしている。それなのに、山口さんの熱い気持ちの裏側で、寂しさと孤独を感じた。
何が寂しいのかと考えた時に、なにもないことが寂しいのだと思った。
絶望するほどの困難や痛み、自分をさらけ出せるほどの人との繋がりも、誰かに熱く語れるほどの夢も、自分の人生にはない。
なんとなく生きてきて、今もなんとなく生きて、これから先もなんとなく生きていく。そんな毎日に寂しさと孤独を感じたのだと思う。
でも、これが日常なのだとも思う。
絶望するほどの痛みはないけど、漠然とした不安、寂しさ、孤独が常にある。
それはきっと自分だけじゃなくて、多くの現代人が、そんな思いを抱えながら過ごしているのかもしれない。
何が言いたいかというと、心の痛みは人それぞれあって、その痛みは、人との共感を生み、それが誰かの心に響くものになるんじゃないかなと、そんなことを思った。
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