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冬に向かって
仕事からの帰り道。
今日は遅くなってしまったな、とふと空を見上げる。
星がきれいだった。
ほっと一つ息を吐く。
その息が白く空に消えていく。
夜はもう冷えるね。
冬が近づいてる。
そんな空気。
今日は帰ったら昨日作っておいたクリームシチューがある。
そう思っただけでワクワクする。
早く帰ろうっと。
かなでは小走りで駅に向かった。
そこに詰まってるものは
私は小さい頃からお弁当が好きだ。
お母さんが毎日作ってくれていたお弁当。
小さな箱にいろんなおかずが飾られていて
少しずついろんな味を楽しめる。
色がきれいで、まるで小さな宝箱のようにきらきらしてた。
食べるのがもったいなくて
食べるのが楽しみで
お昼にフタを開けるのが毎日楽しみだった。
*
一人暮らしをするようになってから自分で作るようになって
そんなお弁当を作りたいって思って毎日作
事実は小説より奇なり
現実では小説でも書かないような偶然が起こったりする。
ほんの少しのズレ
例えばちょっと早く家を出たとか
一つ前の電車に乗っていたとか
車両が違っていたとか
使う駅が違っていたとか
そんな些細なことで、それは起きなかっただろう。
世の中はそんな偶然で溢れてるのかもしれない。