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HSPとは?特徴や苦労していること・生きやすくするためのヒント
HSPとは、刺激に敏感で繊細な気質をもった人のことをいいます。繊細で敏感な分、社会が生きづらく苦労することも多くあります。
「昔から相手の表情を見ただけで、怒っているのかがすぐ分かる」「会社からの帰り道でなぜだか分からず涙してしまった」など自分の繊細さに気がつかずに生きている人が多くいます。
自分がHSPなのか知りたいと思っている人は、チェックリストを使って診断することもできます。
今回は、HSPとは何なのか、特徴や苦労していること、繊細であることの強み、生きやすくするためヒントなどをご紹介します。
これを読めば、自分がHSPなのかが分かり、繊細な人でも少しだけ楽に生きられるはずです。
HSPとは
HSPとは、Highly Sensitive Personの略で、とても感受性の強い人・繊細な人、あるいは気質のことを指します。HSPは5人に1人いるともいわれており、近年日本でも多くの関連本が出ています。
HSPはとても繊細な人のこと
HSPは、先天的に感受性が強く敏感な性質をもっているため、日本では「繊細さん」などの愛称で呼ばれています。音や光などの視覚的情報に敏感で、環境の変化や人の気持ちを感じ取る力が人一倍強いため、肉体的に疲れやすく精神的に落ち込みやすいです。またほかの人が気づかないようなことにすぐ気づいたり、ささいな一言に傷ついてしまったりとHSP特有の悩みも多く存在します。
HSPは、5人に1人いるとはいえ全体から比べると数が多くないため、「弱い人間」「めんどくさい人」など社会から白い目で見られることもあるかもしれません。しかし繊細で敏感であることは悪いことばかりではなく、HSPにも良い所はたくさんあります。
HSPは病気ではない!治療ではなく対処法
「心が弱い人間」に見られがちなHSPですが、これは病気ではなく「生まれもった気質」です。性格に内向的・外交的な特徴があることと同じように「繊細さ」「敏感さ」はHSPの特徴なのです。性格は変えることができますが、治療の必要はありません。HSPは、うつ病や精神疾患とは違い医学的な病気ではないのです。
しかし、HSPはその繊細さ、敏感さから多くの悩みを抱えていることも事実です。他人の気持ちを優先してしまうことで、なかなか自分の悩みを打ち明けられず苦しんでいるHPSには、治療ではなく気質に対する対処法をもつことが大事です。
HSPの4つの特徴
HSPには提唱者アーロン博士が掲げた4つの特徴があります。
・Depth of Processing(深く思考する)
・Overstimulation(刺激への敏感さ)
・Emotional response and empathy(共感力の高さ)
・Sensitivity to Subtleties(感覚のするどさ)
これらの頭文字を取って「DOES(ダズ)」と呼ばれます。
4つの特徴を以下にくわしく解説します。
物事を深く思考する
HSPは、物事を深く考えて処理する力に長けています。例えば、一を聞いて十のことを考えられる、調べものをすると深く掘り下げるため知識の幅が広い、物事をはじめるまでに時間がかかる、などが特徴です。
一方で多くの情報を読み取って処理するため疲れやすい要因にもなります。
刺激に敏感で圧倒されやすい
HSPは、ほかの人より刺激に敏感で圧倒されやすいです。例えば、人混みや大きな音が苦手、芸術や音楽に感動しやすい、ささいな一言に傷つき忘れられない、人と会うとどっと疲れる、などが特徴です。
刺激に過剰に反応するため、精神的に疲れてしまう傾向があります。
共感力が高まりやすい
HSPは、共感力が高く周りの人の感情の変化に敏感に反応します。例えば、人が怒られていると自分のことのように感じる、映画や本に感情移入しやすい、仕草、目線、声音などに敏感で機嫌や思っていることが分かる、などが特徴です。
共感力が高いことは人の気持ちを察して上げられるいい面がある一方で、他人の感情に影響を受けやすいためすぐに疲れてしまいます。
感覚がするどい
HSPは、感覚がするどいため身の周りの環境の変化に気づきやすいです。例えば、強い光や日光のまぶしさが苦手、カフェインや添加物に敏感に反応する、時計の音や機械音が気になる、肌着のタグやチクチクした素材が気になる、などが特徴です。
また、音や光だけでなくある情報や刺激を受け取った時に、その背後にある意味を考えたり捉えたりする力にも長けています。
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HSPセルフ診断
ここまでで、もしかして自分はHSPかもしれない、と思った人もいると思います。そんな時は、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が1996年に提唱したHSPのチェックリストを使って、自分がHSPなのか調べることができます。
HSP自己診断テスト(エレイン式)
以下の質問に「はい」か「いいえ」で答えください。
1.自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
2.他人の気分に左右される
3.痛みにとても敏感である
4.忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる
5.カフェインに敏感に反応する
6.明るい光や、強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などにに圧倒されやすい
7.豊かな想像力を持ち、空想に耽りやすい
8.騒音に悩まされやすい
9.美術や音楽に深く心動かされる
10.とても良心的である
11.すぐにびっくりする(仰天する)
12.短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう
13.人が何かで不快な思いをしている時、どうすれば快適になるかすぐに気づく(たとえば電灯の明るさを調節したり、席を替えるなど)
14.一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ
15.ミスをしたり物を忘れたりしないよういつも気をつけている
16.暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている
17.あまりにもたくさんのことが自分の周りで起こっていると、不快になり神経が高ぶる
18.空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる
19.生活に変化があると混乱する
20.デリケートな香りや味、音、音楽などを好む
21.動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
22.仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
23.子供のころ、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた
引用:「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。」エレイン・N・アーロン(著)・冨田香里(訳)出版社:SBクリエイティブ
質問の中で「はい」が12個以上あった人は、HSPの気質があるといわれています。ただし12個以下の場合でも、一つの事柄の度合いが強い場合には、HSPである可能性があります。
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HSPが苦労すること
感覚がするどく周りのことによく気が付くHSPは、ほかの人には分からないような悩みもたくさん抱えています。ここではHSPが日頃の生活の中で苦労していることをお伝えします。
人が多い場所が苦手
HSPは、刺激に敏感で圧倒されやすいため、人混みが苦手です。大きな音や光にも敏感に反応するため、情報量の多い街中などにいるとすぐに疲れてしまいます。例えば、人と少しすれ違っただけでも、その人が大きい声を出していたり、強い香りのするものをつけていたりすれば気になってしまいますし、人の仕草や表情を瞬時に読み取ることに長けているHSPは、その人がどんな人なのか怒っていないかなどを深く思考します。
触れる情報量が多い分、人が多い場所はHSPにとって気疲れする場所なのです。
電話が苦手
予期せぬできごとに驚きやすいHSPは、突然に鳴り響く電話が苦手です。
着信表示のある携帯ならまだしも、仕事の電話などは誰からかかってくるのかが分かりません。他人の態度を敏感に感じ取るHSPは、どんな人が電話に出るのか、出た時に声で機嫌が分かってしまうため電話に出ることに不安を感じでしまいます。
また、意識する相手は電話だけでなく、電話に出ている時に聞いている周りの人のことまで気になってしまいます。「自分の電話対応はちゃんとできているのか」「電話に戸惑っている自分を見られたくない、恥ずかしい」など他人からどう思われているかを気にしてしまうのです。
周りの目や音が気になって集中できない
HSPは、周りの人の目や物音が気になってしまい仕事に集中できないことがあります。例えば会社で自分の机の近くにコピー機があったり、扉の開け閉めが多かったり、隣の席の人が大きな声で電話対応をしていたりすると、そちらが気になってしまい自分の仕事に手がつかなくなります。席でお弁当を食べている人がいれば匂いが気になってしまいますし、対面に人の気配があるだけで気になって集中できないHSPもいます。
これらは、HSPではない人にはささいなことのように思われますが、光や音、人の仕草や態度に敏感に反応してしまうHSPがとても苦労するところなのです。
他人の感情に影響されやすい
人の気持ちを察することに長けているHSPは、共感力が高く相手の気持ちに寄り添うことができる反面、他人の感情に影響されやすい傾向があります。例えば、友達の相談に親身にのっていたらグチばかりでだんだん疲れてしまった。悪口をさんざん聞かされ感情が黒く染まっていく感じがする。悲しい気持ちを共有して一緒に泣いてしまう。など自分の感情ではないのに、相手が想っていることを自分が体験したことのように感じてしまい精神的に疲れてしまうのです。
また、他人軸で生きやすいHSPは自分の気持ちが分からなくなってしまい、自分が本当にやりたいこと、好きなことが不透明になりやすいので注意が必要です。
マルチタスクができない
一度に多くのことを頼まれるとパニックなりやすいHSPは、マルチタスクが苦手です。物事は慎重に丁寧に進めていくことを得意としているため、あれもこれもと要領よく対応できる術がありません。
また、時間のない場でせかされると頭が真っ白になり、いつもなら簡単にできていた仕事も力を発揮できなくなってしまいます。ほかの人が気づかなようなささいなことにも気づくため、その分仕事の修正に時間もかかります。いくつもの仕事を同時進行できないため、周りから「仕事が遅い人」のように見られて落ち込んでしまうHSPも少なくありません。
頼まれごとを断れない
他人の気持ちに寄り添うことのできるHSPは頼まれごとをされるとなかなか断ることができません。相手の力になりたい、相手が困っているのにほっとけない、など自分軸ではなく他人軸で生きてしまう傾向があるため、相手の頼まれごとを背負ってしまい精神が疲弊してしまいます。良かれと思ってしたことが自分を苦しめるのです。
人の表情や態度に敏感に反応するため、頼まれごとを断ったら不快な気持ちにさせてしまうだろうな、など深く考えてしまい、ますます断れない人になっていきます。その裏には「人から嫌われたくない」「人に良く思われたい」などの自己肯定感の低さが現れているのです。
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HSPの強み
ここまできて、HSPは大変だな苦労が多いなと思われたかもしれませんが、繊細であることは悪いことばかりではありません。短所が長所に変えられるように、繊細さや敏感さは強みにもなります。HSPは、ほかの人が持ちえないような武器にもなるのです。
危機管理能力が高く仕事が丁寧
ほかの人が気づかないような小さな違和感などを敏感に察知することができるHSPは、危機管理能力が高いため、ミスなどが少なく仕事も丁寧です。さらに高い共感力も持っているため周りに困っている人がいることに、いち早く気づくこともできるでしょう。HSPは自分らしく働ける環境においては、人一倍の能力を発揮するのです。
人の気持ちを理解するのに長けている
共感力が高く、人の気持ちに敏感なHSPは、相手の立場に立って物事を考えられるためコミュニケーション能力が高いともいえます。会話をすることだけがコミュニケーションではありません。人の気持ちを汲んで円滑に物事を進めることは社会的に必要な能力の一つです。
もちろん他人軸になってしまい自分の意見がいえなくなることは避けなければなりませんが、HSPの高い共感力に救われる人も多いと思います。
感受性や想像力が高くクリエイティブ
HSPの繊細な感性は、新しい視点やアイデアを生み出し、創造することができます。例えば小説やイラスト、デザインなど、クリエイティブな仕事は想像力が高いHSPの気質に向いているともいえます。
また、感覚のするどいHSPは五感がすぐれていることもあり、ほかの人が味わうことのできない気づきや喜び、感動を深く味わうことができるのです。
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HSPでも生きやすくできる
HSPは敏感さゆえに苦しいことが多く、周りの理解も得られないため精神的に疲れてしまうことも多いでしょう。
そんな困難や苦労の多いHSPが生きやすくなるためのヒントをご紹介します。
刺激のあるものを自分の周りから取り除く
光や音など物理的に刺激のあるものは避けることができます。環境によってストレスを感じるのなら、サングラスをして光を遮断したり、ノイズキャンセラーがついたイヤホンをして音を遮断してみましょう。小さなことですが、ささいなことにも刺激を受けやすいHSPにとっていらないストレスは一つひとつ取り除いていくことが重要です。まず自分がなにの刺激を受けやすいのかを知り、避けられるものから避けていきましょう。
HSPについての本を読んでみる
自分がHSPであることを深く知るために、HSP関連の本を読んでみましょう。自分がHSPであることを受け入れ、どうすればHSPと向き合っていけるのか考えることは、物事を深く探求することに長けているHSPには向いている作業です。自己認識を高めることで自分の感受性や感覚を信じることができ、敏感さや繊細さを受け入れることができます。自己理解が深まることで心のバランスをとりやすくなり、精神的にも安定してきます。
リラックスできる場所や方法を知っておく
疲れやすいHSPにとって心を落ち着かせられる場所や時間はとても大切です。読書や音楽、散歩やヨガなど、自分がリラックスできる方法をたくさんもつことで、ストレスを軽減させることができます。
「青い空を見ていると心が洗われる」「草木の音や風が心地よい場所を知っている」「ハーブティーの香りでリラックスできる」など感覚のするどいHSPならではの小さなリラックス方法があるかもしれません。たくさん探してみましょう。
ソーシャルメディアとの付き合い方に注意する
ソーシャルメディア上にはさまざまな情報が飛び交っているため、付き合い方に注意しましょう。自分にとって有益になったりポジティブになる情報を選択することが大事です。誰かを批判するようなネガティブな発言や必要以上に暴力的なコンテンツは避け、長時間ソーシャルメディアを利用することも避けましょう。また、情報の信頼性を確認することも大事です。誤解を招く情報はストレスを生み出し、精神を疲労させます。
気持ちをノートに書き出す
ストレスをためやすいHSPは、自分の言葉が上手く伝えられずに苦労することもあります。そんな時は、ノートに自分の気持ちを書き出してみましょう。物事を深く思考するHSPは、頭の中でぐるぐる悩みを抱えやすい傾向があります。自分の気持ちや考えを整理するためにも一度文章にして書き出すことは大切です。不満や不平、今ある自分の感情や想いなどを書くことで他人軸から自分軸に戻すことができますし、気持ちの整理も行えます。時にはクリエイティブなものに対するアイディア出しに使っても良いかもしれません。
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HSPのまとめ
今回は、HSPについての特徴や生きやすくするためのヒントをご紹介しました。
HSPは精神疾患などの病気ではなく、内向的・外交的などの性格と同じ生まれ持った気質です。
苦労することや困難に感じることもありますが、HSPをよく理解し、向き合うことでHSPらしい生き方ができるのです。
繊細で敏感なことは悪いことではありません。HSPの強みを生かし、リラックスする方法などを模索することで少しでもストレスを軽減できればよいなと思います。