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あの時ふたりは別れるべきじゃなかったんだ


恋人と別れ話をしてから2ヶ月半程が経った。

あの夜のことを私は今でも時々思い出しては心の奥がキュッと鋭い針で刺されたような痛みを感じる。

私はあの時「もうだめだ、終わってしまうんだ」と思った。それでも何とか自分の気持ちと相手の気持ちを上手く擦り合わせていた。

とにかく必死だった。

普通は恋人から「別れたい」と言われたら別れてあげるべきなんだろう。
だけど私はどうしてもそれができなかった。
自分の為と言われたら否定するまでもないけど、恋人とふたりでもっと過ごしていたかった。
ただそれだけだった。


2ヶ月半たった今、私たちは前よりも仲良くなれた気がしている。分からない、私だけがそう感じているのであって恋人からしたら何の変わりも無いように思われているのかもしれないけれど。

だけど別れ話があった直後、私なりに今までの自分の言動を振り返って反省するべき点をいくつか挙げて恋人に謝った。
謝ればいいというより、自分がそこまで恋人に無理をさせてしまっていたことに気付けずにいたことをどうしても謝りたかった。

それから自分の言動を変えてみた。
恋人がどうしたら喜んでくれるかを基に色々なことを考えて行動に移してみた。

それからは何だかんだ恋人と上手くいっているような気がする。

だからタイトルにもあるように、

あの時、ふたりは別れるべきじゃなかったんだ

と、今は思う。

あの時はきっとふたりにとって変わるべきチャンスが向こうから来たのだと思う。
教えてくれたのだと思う。
あそこで別れていたら私たちふたりはどうなっていたのだろうか。

少なくとも私はここまで誰かを本当の意味で大切に思うことは考えられなかったと思う。

だからあの夜のことは今でも思い出すだけで苦しくなるけど、あの夜があったからこそ、あの別れ話があったからこそ今もこうしてふたりで生活を送れているのだと思う。

これから先のことなんて分からない。
〝ずっと〟なんて信じてないけれど、恋人の生きていく未来に私が居たらいいなぐらいには思う。

今私と一緒にいる未来が見えていても、見えていなくても、隣にいる事実は変わらないのだから今よりももっと恋人を大切にしていきたい。

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