another story-ほんとのところ⑮

12月はどの業界も一年でいちばん忙しい時期だと思う。
ようちゃんも忙しいみたい。
インスタのストーリーズには
ライブのお知らせが引っ切り無しにアップされている。

私のストーリーズの観閲者にようちゃんの名前があると
一瞬でも私のことを思い出してくれたようで嬉しくなる。
たったそれだけのことが私の存在を肯定してくれる。

だけど、最近、少し様子がおかしい気がするの・・・

ようちゃん、私のストーリーズを観なくなった。
忙しいからなのかアップはしても
他の人の投稿を見る時間はあまりなのかもしれない。
DMの返信はしてくれるから、たぶん、忙しいだけだよね・・・？

始めから、この関係は不倫なのだから
ようちゃんのプライベートに立ち入っちゃいけない。
お互いにタイミングが合うときに、会って楽しい時間を過ごす。
それ以上のことを求めてはいけないのに
もうすでに私の心は不倫以上のことを求めている。

加藤くんの言った通りになっちゃった・・・

『この人と一緒にいると色々とトラブルになるよ。
なぎさんの大切にしているものを壊しに来る人だね。
なのに、離れるにも離れられない関係。早めに切った方が身のためだよ』

another story-ほんとのところ④

ようちゃんと付き合おうとする私を加藤くんは全力で引き留めた。
それを無視したのは自分自身。
今更、どうしようなんて相談出来ない。
私の心は壊れかけているんだ。

もう、会うのをやめた方がいいのは分かっているのにメッセージを送る。

ー会いたいの。忙しいみたいだけど、会える日あるかな？ー

ー来週の月曜日なら、空いているよー

ースヌーピーカフェに行きたいのー

ーいいね、いこっかー

ごめんね、その日は仕事なんだ、と言ってくれたら諦める。
でも、タイミングが合ってしまう。
やめたくても、やめられない。離れられない。
だから、行くところまで行ってみよう。
先のことはあまり考えない。
考えても仕方ない。
辿り着いてから考えればいい。
私はようちゃんと一緒にいたい、ただ、それだけ・・・