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GIGAスクール学校格差は、教育DXの定義の違いと校長の「恐れ」が原因ではないか。

今更ですが、今日は、教育DXついて再考してみたいと思います。

まず、DX:Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)のXですが、Transformationの「Trans」が交差する意で、符号「X」で表現されます。また、「Trans」には「超える」という意味合いがあります。

一方で単なる「D」のDigitalization(デジタライゼーション)とは「デジタル技術を活用して業務を効率化すること」ですので、現在GIGAスクールは残念ながら良くて「D止まり」なんだろうと思います。文科省もGIGAスクール構想の”次”なる展開が教育DXと言っていますし。

さてDXとは、経済産業省の「DX推進ガイドライン」では、

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、
データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、
製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、
業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、
競争上の優位性を確立すること

と定義されています。
これを私なりに教育に当てはめると「教育DX」とは

データとデジタル技術を活用して
業務プロセスを改善するだけでなく、社会のニーズを基に
校務(働き観)や授業(学習観)を変革すると同時に学校文化も改革し、
他の教育機関に負けない教育力を確立すること

ということになります。
これなら教育DXによって、これまではできなかった教育が可能となり教育レベルが格段に向上するでしょうし、現場の大きな課題である「教員の残業時間」や「授業の質の差」も解消するはずです。

最近、ICT活用の学校格差の問題を取り上げるニュースが増えています。GIGAスクールが始まって3年で、ここまで差が開くとは思っていなかったという関係者も多いのではないでしょうか。

学校格差が生まれるのは、学校ICTを入れる目的としての教育DXの定義がそもそも違うことが原因の1つのではないかと思います。

一方で文部科学省は「教育におけるデジタル化の推進」において
・GIGAスクール一人一台端末活用など学校教育の充実
・大学におけるデジタル活用の推進
・生涯学習・社会教育におけるデジタル化の推進
・教育データの利活用によるEBPMの推進
の4つを示しました。

とくに最後のEBPMとは、Evidence Based Policy Makingのことで「証拠に基づく政策立案」として政府全体で推進している考え方です。教育にEBPMが入ってくるということは、管理職のマネジメント手法が革新されることが期待されます。

例えば、健康観察1つとっても(現在は5類になり検温をやめた学校も多いですがプールが始まれば再開されますね)学校単位では、どのクラスに何人体調の悪い生徒がいるのか管理職が瞬時に把握することが可能ですし、教育委員会や校長会など複数の学校を横断で見る組織にとっては、どの学校(地域)で、どの程度インフルエンザが広がっているかすぐに把握できます。

このようにリアルタイムに集計されるデータからどのような対策をとるのかスピーディーな判断が可能となります。

いちいちフォームや調査票を配って、集まったデータから資料をつくるといった面倒もなく、すばやく生徒たちのための行動が取れるということになります。今までの時間がかかる合議の形ではなく、データによる決断と行動のスピードが格段に上がる学校経営・マネジメントが可能となるということになります。

学校格差が生まれるもうひとつの理由にこの学校マネジメントの問題があると感じます。

学校の差をなくすには教員のスキルアップが必要だと言う人がいます。確かにそういう面もありますが、毎日学校を支援させて頂いている私の現場感からすると、学校格差は、管理職(とくに校長)の変化に対する「恐れ」に起因していることが大きいと感じます。

校長先生は、外見では弱みを見せませんので、周りからそう見えることはありませんが、1対1で本音で話し合ったり、教員との確執の原因を探ってみると、「変化への恐れ」を感じることが多いです。

表向きは問題ないし困ってないので、前年踏襲で先生に負担がないように、という判断になってしまっています。これが「変化への恐れ」が根本原因と感じる理由です。

もしかしたら、校長先生の心の中で、今までの教育観と対立してしまっているのかもしれません。教育DXは今までのことを決して否定するものではありません。むしろ先生が実現したかった教育の理想を実現に近づけるものが教育DXです。私が教育DXによって生まれ変わる学校のイメージをお伝えすることで、ホッとされる表情を見せることもあります。

私たちは、毎日汗をかいて一生懸命現場で先生方を支援しているので、信頼してくださっている先生方がたくさんいらっしゃいます。校長先生をはじめ管理職の先生とこれからの学校をどうしていったらいいか真剣に話し合うことも多いです。そこでより一層見えてくるものがあります。

私たちの仕事ぶりは、先生方を一切否定することはなく、むしろ挑戦を楽しみながら毎日の成長を一緒に喜び合っている姿がそこにあります。この時代の変革期に先生たちのバディとなって、上機嫌で教育DXを前に進められたらと思います。