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教員の夏季研究大会オンライン開催の支援をやってみた。

この夏は、3つの教員の夏季研究大会をご支援しました。
・ある都道府県の「国語」の研究大会 
・7都道府県が参加する「英語」の研究大会 
・全国の教育会が加盟する団体の研究大会

それぞれ100人から700人の教員が参加する盛況の研究大会でした。
主に公立の小中学校の教員が参加されていました。
夏季研究大会とは先生方が授業実践の成果を発表する学び合いの場です。
この活動を通じて先生方は自らのスキルやマインドを向上させています。

今年の研究会は、zoomでオンライン開催するということで、主催者の先生からご依頼のお電話をいただき、前準備から本番、その後のフォローまでご支援させてもらったものです。

私たちネットマンは、特にこのようなサービスを行なっている会社ではないのですが、Cラーニングでお世話になっている先生からのご依頼なので、少しでも先生方の助けになるならとボランティア精神でご支援させていただいているものです。
(主催者の先生の話では、あるイベント会社に見積もりを頼んだら、TV放送並みの運営企画で当日支援だけで250万円と言われびっくりした話や、機材だけ70万円で貸すという業者がいたそうです。ひどい話です。)

私たちの支援スタイルは、すべてこちらでやってしまうのではなく、やり方をレクチャーしたり、一緒に考えたりするスタイル。先生方に実際に操作してもらうことで習得していただけるようにしました。次は自分たちだけでできるように。(もしかしたら一部の方に「なんだ、やってくれないの?」と思われているかもしれません。。汗)

昨年に続き今年も研究会をご支援させてもらう中で、多くの課題にぶつかり主催の先生方と話し合いながら前に進めました。その中で、私たちも、いろいろ学び、感じることも多かったです。
8月も終わろうとしているこの時期に、この夏の経験を整理・記録する意味でnoteに書き記したいと思います。

【教員のzoomのスキルについて】

この1年の教員のITスキルのアップは凄まじいものがあります。zoomに関しても同様です。昨年との違いなどをまとめてみます。

・ミーティングの参加は問題なし
 ー昨年のようにURLやIDでのアクセス方法がわからない人はいない。
  アプリのインストール方法を聞く人もいない。
 ーミーティングIDが異なる別の分科会に参加もすんなり入れる。
 ーミュート解除で生活音が出てしまう人もだいぶ減った。
 ー名前を変えずに[氏名:iphone]などで参加する人がまだ多少いる。

・ミーティング主催者も練習会を行うと問題なく操作できるようになる
  ー共有ホスト
  ーミュート
  ー画面共有(音声付き動画のレ点は忘れがち)
  ーレコーディング
  ー氏名変え指示
  ーブレイクアウト
 ただしミーティング設定はzoomの仕様がよく変わるので注意が必要。
 共有ホストのON/OFF設定があるのは最初気づかず、焦りました。

・zoomの有料商品はあまり理解していない
  ーzoomプロとビジネスのライセンスの違い
  ーミーティングとウェビナーの違い
  ー大規模ミーティングとzoom Webinarsの違い
  ーzoomビジネスの親ログインでできることとできないこと

・音に関する部分はまだ無頓着の人が多い
  ーヘッドセットやイヤホンを使わずハウリング
  (事前にお願いしたが伝わり切れない部分があり。反省)
  ー講演会場のマイクとのハウリング
  (すずかん先生、最初ドタバタして申し訳ござません。反省)
  ー後ろの席の大きな声が入ってしまう
  (1つの部屋で複数の分科会を同時開催するときのマナーの徹底が必要でした。反省)

・ネットに関するリスクはあまり理解していない
  ー回線品質の事前チェックが甘い。
  (「失敗するとしたらネットですので会場はこうしましょう」
   という提案をしっかり聞いてもらって助かりました。ホッ)
  ーネットが遮断された時のバックアップが足りない。
  (いざという時のために、ポケットwifiを準備して頂きました。)
  ーポケットwifiやテザリングに同時に何台つなげても
   大丈夫かは意識していない。
  (おかげでネットには容量があるという認識が深く浸透しました。)

【研究会の運営について】

ネットマンは「やりっぱなしの研修を行動定着型にする」という人材育成の
仕事を企業向けに行なっていますし、その関連書籍を出版しているので
どうしても、研究会自体の運営が気になってしまいます。
そのあたりの考えたこと感じたことを記したいと思います

・研究会の前後のIT活用の意識が低い
大会当日のITの運用に対する意識は高いのですが、研究会の前後の期間のITの運用を考えている先生は少ないように感じました。
  ー参加申し込みと名簿管理
  ー事前、事後のアンケート
  ー発表資料の事前配布
  ー発表動画の事後の共有と学び合いの継続
 など、ITは研究会の前後の活用が効果的なのですが、研究会自体がやりっぱなしになっているように感じました。

・議事録などITを使えばもっと楽になる業務が多くある
 発表の動画を協働板に入れて提供したり、自動でテープ起こしした
 テキストをお渡ししてとても喜ばれました。
 議事録係の方が発表内容を整理して冊子化するらしいのですが
 その業務が楽になったようです。
 このほかにもテクノロジーを使えば楽になる業務が多くありました。教員の働き方改革のためにIT活用の日常化は必須と感じます。

・司会ー発表者ー助言者という流れの運営
実践事例の発表を数十分ほどじっくり聞いて、その後、質疑応答、助言者からの発表という段取りで進む研究会が多いです。
どの研究会でもフォーマットが決まっているのか同じような運営になっています。長い歴史と文化を感じます。

ここで、もっとチャットやブレイクアウトなど双方向のやり取りを取り入れた方が深い学び合いになると思いました。
発表で原稿を読み上げる人が多いので、ならば動画で収録して、事前にオンデマンド動画で聞いてもらっておいて、研究会はディスカションからスタートするという、「反転学習」のやり方もいいのではと思います。
助言者も原稿を読むならその原稿を事前に協働板などで共有しておいた方が当日の思考は深まると思いました。まさに「主体的で対話的深い学び」ですね。

研究会を「滞りなく段取り通りとりおこなう」ことに力を入れすぎると、正解のない学びの場に必要な「ゆらぎ」が減ってしまい、堅苦しい場になってしまいます。
もちろんプログラムがありますので時間割も大事ですが、発想の転換をすれば、学びの場としてもっと活性するだろうなと感じるシーンがたくさんありました。

どの研修会でも、主たる課題は「先行き不透明な時代を生きる力を育む」でした。キーワードに「Society 5.0」や「VUCAの時代」が入っていました。せっかくオンラインでやるなら、普段同席することのない先生方と交流する機会を活かして、異文化交流や対話的化学変化を楽しむことを中心とした大会運営があっていいと感じました。

【先生方の学びのスタイル】

教育に本格的にICTが入ってきたのはの2年のGIGAスクール構想からだと思います。一般的に教員のICTのスキルはビジネスパーソンに比べて足りないと言われています。実際にそれを感じる部分が多いですが、それは環境がなかったらとも言えますし、この1年の先生方のスキルアップのスピードは凄まじいものがあります。
(おそらくあと2年でビジネスパーソンに追いつくと思われます)

今回の仕事で、様々な先生方と交流させて頂きました。先生方は未経験のITのことでもがんばって問題を乗り越えようとされていました。わからないことは調べたり操作して自分でなんとかしようと挑戦されていました。その前向きな姿に感動しました。傾向的には若い先生はほぼこのタイプかなと思いますが、ベテランの先生にも多くいらっしゃいます。(帰り際にお礼も言っていただけるので、とても気持ちがいいです)

一方で、簡単なことでも自分で調べる前にすぐ聞く人がいらっしゃいます。実は私たちも不明点があるとググりながら検索してなんとか解決法を見つけています。「私は素人でわからないので」という謙遜の言葉を繰り返されます。おそらくパソコンに自信がなかったためと思いますが、今回の経験で、「やればできるね!」といってくださったのがとても嬉しかったです。

ほんのたまにサポート要員を業者扱いし「お前がやれ」という態度の方も残念ながらいらっしゃいました。ビジネスパーソンとの仕事ではありえない体験です。慣れてくると腹は立ちませんが、悲しくはなります。サポート要員も人間ですから。

以上、記録としてまとめさせて頂きました。
きっとこの次は先生方だけでオンライン開催の運営でできると思います。
もう休校があっても学びを止めない学校が増えることことでしょう。

今回、私たちは素晴らしい経験をさせて頂きました。これからも、教育の未来を信じて私たちができることを地道にやっていこうと思います。

関わった先生方、本当にありがとうございました。