【vol.48 「できなかったこと」をできるようにすればいいんじゃない?と思っている人、これを読めば考えが変わります】
vol.47 では、「ありたい姿」を認識してから「できたことメモ」を見直すと、新しい疑問がわいてきて、成長意欲が高まることをお伝えしました。
今回は、それについての心理的なロジックを解説していきましょう。
人々が行動変容してあるテーマの目標を達成する時、そこには「行動を変える」というプロセスが発生します。このプロセスには、「できなかったことから振り返った場合」と「できたことから振り返った場合」の2種類があります。
「できなかったこと」から振り返った場合の心の動き
まず、「できなかったこと」から振り返った場合について解説しましょう。この場合は、否定から入ることになります。「しまった できなかった」という否定から入ると、強い不安が生まれます。
「やばい どうしよう」「やりたくないけど、ノルマが・・・」という強い不安です。
それによって、「自分には無理だ。やめておこう」という「逃避」行動が起きます。「焦り 恐れ 強い不安」が生まれて、行動変容は起きないということになるのです。
これが、「できなかったこと」から振り返りをした場合のマインドの動きです。結果的に、「達成できない人になってしまう」ということですよね。
「できたこと」から振り返った場合の心の動き
一方、「できたこと」から振り返った場合は「承認」から入ります。「やった!できた」と自分のことを肯定的に捉えると、気持ちに余裕ができて、周りの人の良い面もたくさん見えてきます。
この「やった!できた」という自己承認から入りますから、それをもっと高める必要はないかと疑った場合には、「適度な不安」が生まれることになります。
この「適度な不安」によって、「このやり方はベストではないな」「もっと別に方法ないかな」と、プラスの行動を増やすというマインドが働きます。行動を起こすことによって、「適度な不安」から脱出しようとするわけですね。
その結果、「挑戦」まずこれから取り組んでみようと、さらに自分を磨こうとする行動に移ります。
「できたこと」から振り返った場合の方が前向きな感情が生まれて、「自分はなかなか良くやってるな」「さらに高められるぞ」というマインドが働き、行動変容が起きやすくなるんですよね。
行動変容につながる「適度な不安」
皆さんお気づきでしょうか。「できなかったこと」から振り返ったときに生まれる「強い不安」、「できたこと」から振り返ったときの「適度な不安」、両方とも「不安」です。同じ「不安」ではあっても、「強い不安」は行動を抑制し、「適度な不安」は行動を促進するのです。
「できたこと」からスタートする。
これが、行動変容のためには重要だということを、押さえてもらえたらと思います。
次回は、あなたの成長を妨げる「思い込み」について解説します。
参照
できたことノート p.134-137
クリティカル・シンキングと心の動き
月イチ10分「できたこと」を振り返りなさいp.86-92
「できたこと」が生み出す計り知れない効果