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コンサルタントの加点回帰 Vol.1:医療PRとは? ~PR界のカンテサンスを目指して~

PR・コミュニケーションコンサルタントの加点回帰の第一弾として、「医療PRの現場から」に初めて書いた記事(2009年9月3日発信)をご紹介します。

【タイトル】

医療PRとは? ~PR界のカンテサンスを目指して~

【本文】

「医療PRって何ですか?」…、私がこれまでに何度も受け続けている質問です。

日本では“PR”という言葉自体に「宣伝」や「一方的な売り込み」というイメージを持たれる方が多いと思います。あるいは、広告の対義語として「無料で行うプロモーション活動」と考えられている方もいますが、いずれも本来の意味とは大きく異なります。

そもそも“PR”とはPublic Relations の略で、「個人あるいは企業・行政・学校・NPOなどの組織が自らを取り巻く多様な人々(Public)との間に継続的な信頼関係(Relations)を築いていくための考え方・行動」と定義され、その根幹には「公共を大切に考える」という理念があります。

この理念に基づき、医療PRを定義すると「多くの人にとって“小難しく”“面白みがなく”“なじみがない”医療/健康に関する情報を、分かりやすいニュースにして社会一般の皆様に届け、病院受診や予防などの適切な対応につなげる活動」といったところでしょうか。

しかし、こんな堅苦しい説明をしてもほとんど理解してもらえません。
そこで、私は(多少の誤解を承知のうえで)自分たちのことを「難しい食材を専門に取り扱う料理人のような存在」だと説明しています。

なぜなら、臨床データや最先端の医療技術、薬剤の作用機序といった、そのままでは食べられない(=理解が極めて困難な)素材を

①刻む、さばく =専門用語を平易な表現に換える、分かり易く図式化する
②味付けをする =意識調査結果を盛り込む、インパクトのある数値を可視化する
③熱を入れる =臨場感のある医療現場の声を抽出する、患者ストーリーを加える

といったプロセスを経て、一般の方々が食べやすい形の料理(ニュース)に仕上げていくのが我々の役割だからです。

ある方にこの話をした際、「東京にあるフレンチレストラン カンテサンスのWebに同じような表現がありますよ」と教えてもらいました。

そこで早速チェックしてみたところ、岸田周三シェフが大切にされている“3つのプロセス”として以下が紹介されていました。

1.プロデュイ(素材)を尊重する
2.キュイソン(火の入れ方)を追求する
3.アセゾネ(味付け)を配慮する

岸田氏は言わずと知れた「ミシュランガイド東京」の三ツ星シェフですので、比較するのもおこがましいですが、我々も「医療/健康に関する情報を必要とされている方々に一人残らず届けたい」という理念や思いの強さでは負けていません。

なぜなら、正確な情報は患者さんにとってなによりの“栄養”ですから。

【2020年8月13日の書き加え】

まず、本記事でご紹介させていただいたカンテサンスが13年連続でミシュラン三ツ星を獲得されていることは、年々高くなる期待のハードルを超え続けられていることの証であり、敬意を超えて驚愕の念を抱いています。(注:見出し画像はカンテサンスの料理ではありません)

また、この10年間で国内におけるPRに関する認知・理解は着実に向上していると感じています。その背景には「PRプランナー資格認定制度」に代表されるPRプロフェッショナルの育成・検定制度の整備があると考えます。また、「SDGs(持続可能な開発目標)」や「Purpose(存在意義)」などを通じて「企業や組織が社会の一員として存続するうえで、パブリック/ステークホルダーとの良好な関係性を構築・維持することの重要性」を学ぶ機会が増えていることも見逃せません。

医療PRの定義や基本的なプロセスは今も大きくは変わりませんが、もし書き直しができるのであれば「料理(ニュース)をお届けする」をゴールにはしません。それは料理人(医療従事者やPRプランナー)→お客様(一般の方々)という一方的な情報提供では不十分だからです。

ですので、例えば「味変コンテストを行う」「自宅で再現できるようにレシピを渡す」など、お客様(一般の方々)にも調理の一端を担っていただく機会づくりを追記したいと考えています。

超高齢化社会の進行、医療技術の進歩、予防医療の拡大、国民の健康意識の高まり、ITの進化などに加え、今年は新型コロナウイルスの感染拡大という難題に直面していますので、国民誰もが医療や健康と無関係ではいられなくなりました。適切な判断・行動につなげることをこれまで以上に強く意識して、効果的・効率的なPR活動に取り組んでいきます。

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