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ケチャップとピザは野菜?
前回お話しました通り、トマトケチャップは米国生まれです。
そういう背景もあり、米国人のトマトケチャップに対する愛情は深く、ピザはもちろん、ハンバーガーやホットドックにも欠かせません。
米国ではトマトケチャップの消費量が尋常ではないのです。
総務省によりますと、日本人は1人あたり年間で、1.6キロのトマトケチャップを消費しています。
一方、米国人は1人当たり32キロ、まさかの20倍。いくらなんでも好き過ぎでしょう・・・。
◇ 追記 2021・5・25
@シマフィーさんから、「さすがに32キロは現実離れしているよ」とのご指摘を戴きました。シマフィーさんの推測によれば「トマトの調味料全般ではないか?」とのこと。
なるほど、確かにトマトケチャプではなく、トマトを扱った製品の総量だと解釈した方がしっくりきます。【参考・アメリカ人とケチャップの悲しい話①】
1)ケチャップは野菜?
聞くところによりますと、米国人にとってトマトケチャップは野菜なのだとか。
「は?」
ですよね。僕も初めて聞いたときは驚くよりも笑ってしまいました。
とりあえず、実際に野菜として分類してよいものかどうか考えてみましょう。
トマトケチャップに含まれるものを挙げてみると、トマトの他に、酢、食塩、砂糖、玉ねぎ、香辛料ete・・・。
野菜と言い張るからには、100%野菜で構成されているのかと思いきや、色々と入っていますね。
日本人にとって、ケチャップといえば、トマトケチャップを指しますが、実際には調味料の名称です。
キノコケチャップもあれば、バナナケチャップまであります。
そうしますと、結論と致しましては「トマトケチャップは野菜ではなく調味料」これ以外にないでしょう。
いくら栄養面で実際の野菜と同等、あるいは、それ以上だったとしても関係ないのです。トマトジュースも分類はジュースなのです。
【閲覧注意・奇異な飲食方法が記載されています】
2)トマトペーストは野菜
それでは、米国においてピザは本当に野菜扱いされているのでしょうか?
気になるので調べてみたところ、政治的な判断が介入していました。
健康管理するうえで、野菜の摂取量は重要です。大人であれば「自己責任」で済む話でしょうけれども、給食で提供するなら行政の責任になります。
とはいえ、推奨摂取量の野菜を確保しようとすれば、財政的に厳しかった模様です。
米国の偉い人は苦悩したと思います。そして、ついうっかり閃いてしまいました。
「天啓!トマトソースは野菜!!」
とはいえ、いくらなんでも、トマトソースやトマトケチャップが野菜というのはおかしいだろう、と議論が重ねられました。
そして、最終的に米国の給食ではトマトペーストが野菜に認定されたのです。つまり、トマトペーストを基に作られたピザソースは野菜扱いになります。
ちなみに、トマトケチャップとトマトソースはどちらもトマトを主体にした調味料で、含まれる素材も殆ど差異がありません。
日本の農林水産省によりますと、可溶性固形分が25%ならトマトケチャップ、8%以上、25%未満ならトマトソースと定義されています。
それに対して、トマトペーストは、トマト100%の濃縮品なのだとか。
◇ 追記 2021・5・30
当初は、ピザが野菜認定されているものと誤認しておりました。野菜だと認められているのはピザソースであることを、シマフィーさんにご指摘頂き修正してあります。【参考・アメリカ人とケチャップの悲しい話➁】
3)ピザは野菜?
話はここで終わりません。アメリカ合衆国農務省は「ピザのソースを野菜扱いするのは問題がある」と認識しているため、法を改正するべく動いたのです。
ところが、2011年1月、改正案は却下され、学校給食においてトマトペーストが大さじ2杯分を満たす場合は、従来どおり野菜と看做される事になりました。
ここでも「ピザソースは野菜」という判断です。なお、ピザは野菜ではありませんよ。あくまでも、ピザソースが野菜なのです。
もちろん、野菜摂取量にもカウントされています。
健康関連の雑誌やコラムにて、「日本人は米国人よりも野菜摂取量が少ない」という主張は多いのですが、果たして単純に比較してよいものかどうか。
それはさておき、米国の皆さんが詭弁だと承知でピザを食しているのか、本当に健康食と信じて疑わないのか気になるところです。
小学生くらいなら、「ソースは野菜なのだからピザは健康に良いはず!」と認識してしまっても不思議ではありません。
「たくさん野菜を食べなさい」と言われた時に、一般的な野菜サラダとピザ、子供たちがどちらを選ぶのか容易に想像できます。
日本人と米国人の体型の差も、案外この辺りにあるのかもしれませんね。