ちそうの学校#3「地域資源の観光化と生態系維持のはざまで」|12/16配信!
地域住民やプロジェクトに参加するアーティスト、地場の研究者など、各々が持っている「知(知恵・知識・知見など)」を共有し、折り重ねていくトークプログラム「ちそうの学校」。第3回のライブ配信が12月16日に行われます。
これまで配信してきた過去のトークは、YouTubeチャンネル「Media Bound Baw」内の再生リスト「ちそうの学校」にアーカイブされていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
地域資源の観光化と生態系維持のはざまで
第3回のテーマは「地域資源の観光化と生態系維持のはざまで」です。なぜそのテーマにしたのかの前に、まずは今回のトークゲストをご紹介しましょう。
ゲスト1人目は、人口減少時代を生きのびるための地域社会のデザイン研究・実践を専門とする井上岳一さん(日本総研 創発戦略センター シニアスペシャリスト)。昨年出版された『日本列島回復論 : この国で生き続けるために』では、障害者ケアにおける回復(リカバリー)の考え方を応用した高度成長期以降の日本が進むべき道筋について深く考察がなされており、これからの地域社会について興味ある方は必読です。
2人目のゲストは野母崎在住のイラストレーター山本春菜さんです。イラストレーターとして活躍するかたわら、「長崎伝習所のもざき自然塾」塾長として野母崎の自然についての調査・学習・発信を行うなど、地域の自然を財産として守り、活用していくための活動を行っておられます。
今回のトークテーマを「地域資源の観光化と生態系維持のはざまで」としたのは、「ちそうの学校」第1回の感想について野母崎で話していた際、山本さんから聞いた下記の話がきっかけでした。
「野母崎の自然を地域の財産として守るべく、多くの人々が正しく理解してもらうことを目的に、自然に関する発信を行ってきた。ただ情報発信を行うことでそれまで知られていなかったことで守られていた「野母崎の自然」に関する情報が世に広まってしまい、一部の人による自然を乱す行為を誘発してしまっている側面がある。
生態系を守るべく知識を持ってもらおうと行っている行為が生態系を壊すことにつながってしまっているという点で、どうすればいいのか悩んでいる」
こうした「地域のために、その地の固有のモノ・コトを知らしめる」ことが翻って「地域資源を損なうことになってしまう」という二律背反は、野母崎特有の問題ではありません。
例えば「観光」のように、地域固有の文化を観光資源として扱うことが消費者向けの”文化”を生み出し、そうした本筋とは微妙に異なる”文化“が消費と生産のフィードバックループの中で拡大化することで、本来あった文化を駆逐してしまう――といったことは、あらゆる土地で起こっています。
山本さんやその他多くの地域が抱えるこのようなパラドックスと私たちはどのように向き合えばいいのでしょうか。
トークセッションでは、井上さん・山本さんの対話を通し、自然や生態系、文化といった地域資源の観光化(商品化)とそれに伴う諸問題、向き合い方について考えていきたいと思います。今回もYouTube Liveだけでなく、野母崎にあるきまま焙煎所のパブリックビューイング会場からもご参加できますので、ぜひお好きな方法でご視聴ください!
ちそうの学校 #3 配信概要
▽テーマ
ちそうの学校 #3「地域資源の観光化と生態系維持のはざまで」
▽日時
12月16日(水) 19:30-21:00
▽配信URL
https://youtu.be/e9AvcGiPQxo
▽パブリックビューイング会場
きまま焙煎所(長崎市脇岬町3630-1)
▽ゲスト
井上岳一(日本総研 創発戦略センター シニアスペシャリスト)
1994年東京大学農学部林学科、2000年米国Yale大学大学院修了(経済学修士)。農林水産省林野庁、Cassina IXC(家具・デザイン雑貨の製造・販売)を経て、2003年に日本総合研究所に入社。大企業からベンチャー企業までの経営コンサルティング、中央官庁の政策立案支援、自治体の支援(特産物づくり等)に従事した後、2010年より創発戦略センターに所属。創発戦略センターでは、持続可能な社会システムの創出に向けたインキュベーション活動を行っている。
山本春菜(イラストレーター)
1985 年福岡生まれ。福岡教育大学生涯芸術課程卒業後は、ヨーロッパの美術品を扱うアンティークショップに入社。かたわら、福岡県「芦屋釜の里」にて芦屋釜復興を担う職人の手伝い、鹿児島市平川動物公園の動物生態画を描く仕事にも携わる。2015 年、長崎市地域おこし協力隊として野母崎地区に着任し、2018 年夏まで野母崎の文化や自然の調査および情報発信を中心に活動。以降はフリーのイラストレーターとして、継続して野母崎に在住。
▽聞き手
林 曉甫(長崎アートプロジェクト ディレクター/NPO法人インビジブル 代表)、桜井 祐(長崎アートプロジェクト キュレーター/TISSUE Inc. 共同設立者)