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「君たちはどう生きるか」は「何者かになりたい」と考えるモブキャラこそが読むべき名著

宮崎駿が原作・脚本・監督を行った映画「君たちはどう生きるか」と全く同じタイトル(ただし内容は全く違う)の名著、吉野源三郎著の「君たちはどう生きるか」を読んだ。

自分の子供用に買ったのだが、子供がまだ全く読む気配を見せていないので先に自分がこっそり読んでしまった。

この著作は題名の通り、どう生きるべきか(How)について書かれた本である。

一方で、何をすればいいか(What)となぜ生きるか(Why)には答えてくれない。むしろ、WhatとWhyよりもHowがはるかに重要なんだ、とでも言っているかのようにも思える。

確かに、「なぜ生きるか」は考えても意味がないし、「何をすべきか」という行為は「どう生きるか」が決まれば自ずと定まってくる。

ネタバレを含むので本の内容の説明は割愛するが、主人公のコペル君は彼の親戚のおじさんとの対話を通じておおよそ以下のようなことを学んでいく。

・我々の社会は一人ひとりが持ち場持ち場を回して成り立っている
・隣人に対し、誠実に接する
・(ナポレオンをはじめとした)歴史上の偉人のようにどんな苦しい状況に追い込まれても強く生きる
・世の中の進歩に貢献する

特に一つ目の点は非常に興味深かった。

これはやや挑発的な言い方をすれば「社会の歯車になることこそ人間が生きるべき道だ」と言っているようにも聞こえる。

社会に出て何者にもなれないと凹むモブキャラにぜひ伝えたいことである。何者になるかどうかなどということより、一人ひとりが自分たちのやるべき仕事を行なっていく、ということの方がよほど重要なのだ、ということを。

何者かになりたいと焦る者ほど、この著作を読んで地に足ついた考え方を身につけるべきだろう。そう、何者かになることを目指すことより、どう生きるべきか・どう社会に貢献すべきか、を考え行動することの方がよほど重要だということを。

大人になっても十分学ぶことの多い著作であった。




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