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なぜか潰れない最弱念珠店のバックヤード④(ダブルワーク)
この記事では、ダブルワークについて書いてみる。
普通はね、ビジネスの経営戦略を綴った文章というのは、その人がやろうとしているビジネスを成功させるかどうかに焦点を当てて語られることが多いでしょ。
本当に自分の起こした商売が、想定の範囲内で順調に勝ち上がれば問題無いんだけど、そんなことはほとんどあり得ないんじゃないかな。
だから、勇気を出して始めてはみたものの、短期間で潰れる商売が実に多い。
「自分の仕事」となると、盲目になってしまい、生活全体を俯瞰していないのだ。
僕らは、ビジネスパーソンである前に、人として生活している。
家賃を払い、食費を用立て、最低限着る物も必要だ。
立ち上げたビジネスは、ダメなら廃業すればいいけど、人としての生活は辞めるわけにいかない。人生全体で考えると、仕事というのはごく一部だ。
生き方の要素の一つに仕事があるだけということを忘れずに、もっと柔軟に考えてみよう。
仕事は生活の一部にすぎない
スモールビジネスの経理についてもいつか詳しく書きたいけど、家事按分という言葉が出てくる。
これは、かかった経費を何割かは仕事の経費として計上し、残りはプライベートで支払うという処理の仕方。
たとえばよくある例として、自宅がメインの仕事場の場合、光熱費などは家事按分できる。仕事で使用している時間や占有面積などを根拠にして、4割は仕事、6割はプライベートという割合を出したならば、1万円の請求に対し、4千円のみ経費として計上できる。
支出の方は、そうやって生活との融合点が見えやすい。
では、収入はどうだろうか。
収入だって、本業収入の他に、生活の足しになる副収入があったっていい。
ビジネスを自分でやろうとした場合に、一番躊躇されるのは、失敗したらどうしようということだ。怖いからこそ、盲目になってしまう。
はっきり言って、何も心配しなくても、基本的にはいきなり成功なんてしない。新規ビジネスに手を出した場合、まずはマイナスになる。それをどの時点でプラスに転じるかというゲームだ。
すごく当たり前だけどとても大事、かつ忘れがち。
タイトルに採用した「なぜか潰れない」って文言だけど、実はこの辺が重要なところだと思う。
スモールビジネス戦略としてオススメしたいのは、その最初のマイナスを限りなくゼロに近づけようということだ。
そして、その計画が完璧に成功してもゼロだ。最初からいきなり収入が安定して生活できるわけじゃない。賢い人ほど、それがやる前から想像出来るから、勇気を出して行動することができないんだよね、きっと。
最初に書いたように、仕事は生活の一部。
だから、まずは生活を成立たせることを、もっと柔軟に考える方がいい。
答えは簡単。自分のビジネスよりは、もう少し安定した収入を別なところから得ることだ。
そう、最初はダブルワークを、強くおすすめする。
全てを捨てて、新しいビジネスに専念するというのは危険すぎる。大穴に全財産を掛けるような物だ。
カッコ悪いと思うな。
まずは、「生きること」
その上で、小さなビジネスを少しずつ育てるのだ。
非正規は不安定?
ダブルワークが大事なのはわかった。
じゃ、なんのバイトする?って話をするね。
不景気が続くと、非正規雇用やフリーターの不安でかわいそうなエピソードがマスコミで取り上げられる。だから、正社員こそが勝ち組だと擦り込まれている人も多い。
実際に、僕も正社員を辞めて、いくら履歴書を送りまくっても、箸にも棒にもかからないときには、人生終わったと思った。
その間、じつに色々な思いがあった訳だけど、結論だけ言えば、考え方がひっくり返った。
むしろこう考えよう。正社員とは、「定額使い放題」ということだ。
日雇い、時間給、派遣・・これって、逆に考えると、「オレ様の都合の良いときだけ行ってやってもいいぞ」、という契約な訳だ。
そんな都合のいい話ある?って思うでしょ。
あるよ、どこにでも。
社会のドン底で働いた経験がある人は、知ってると思うけど、みんな、死ぬほどやる気ない。というか、死んでる。最低時給で身体壊すまで絞って使い捨てにされるような現場では、良い成果を収めようとか、少しでも早く仕事を終わらせようとか、そんな意識はない。とにかく、時間を潰して時給を貰えば良いと思っている。
その空気に飲まれていは行けない。
ここにチャンスがある。
ダブルワークの基本的な考え方
絶対に忘れてはいけないのは、自分の本業はバイトじゃない。
たとえば僕なら、開業当初はほぼ収入がなかった念珠屋が本業だ。収入どころか赤字でも本業。
そして、あくまでバイトは副業。
ここで重要なのは、副業だからと言って心まで従業員に成り下がらないことだ。
自分は経営者だ。
経営者の一番重要で代替のきかない資産は何か考えたことがあるだろうか。
お金や物は、いくらでも代替できる。
「自分の時間」だけは、どうやっても1日24時間以上増やせない。
だから、他人の仕事を手伝って時給をもらうという考え方を捨てよう。
経営者として、一番貴重な「自分の時間」を切り売りしているのだ。その中で、仕事を請け負って、納品している。そういう感覚になるべきだ。
そう考えると、バイト先は雇い主ではなく、自分の顧客になる。
バイト中に考えること
極当然の発想で、経営者ならここでやるべきことは何か。
客単価アップと、受注を増やすことだ。つまり時給とシフト(またはバイト先、派遣先)の数。
顧客満足度を挙げるために、抜群に働いてやろう。
(現実世界では、時給アップと、シフトが増える、他のバイトから引き抜きの声がかかる。何より、雇い主に絶大な信頼を得る)
こうなったらチャンスである。
本業がぶつかっていれば、この日は出られないとか、何時には帰る、遅番ならOKという要求をどんどんしていこう。
腐りきったバイト連中のなかで、抜群に光る存在になれば、雇い主は手放したくない。やればやるほど、こちらの要求は通るようになる。
ここでの、反論は想像がつく。
みんな、はつらつと一生懸命働いている素晴らしいバイト先だったらどうする?
それは、結構なことだ。副業まで気持ちもちのよい職場なら言うことがない。ただし、本業は忘れずに。本業に差し支えるならバイトは断るべし。
それでも、「じゃあ、おまえクビ」と言われたら、そのバイト先では、自分という商品が相手の需要とマッチしていなかっただけだ、気にすることはない。他の仕事に移ろう。いくらでもある。
経営者目線だとそうなれる。
ある人に商品を押しつけて、買ってくれなきゃ死ぬって粘る?そんなことをするより、欲しがってくれる人を探した方が、はるかに効率が良い。
バイトも同じ。
自分の時間の質を高め、誠心誠意、最高の商品として提供しても要らないというなら、さっさと別なところに移ろう。
引っ張りだこのフリーター
開業したばかりの頃、イベント設営、鉄筋運び、農作業、除雪作業などなど、肉体労働のオンパレードだった。
あっちもこっちも掛け持ちで、行けるときに、行けるところに稼ぎにいく。
そして、しばらく通うとどこの現場でも言われることは、「来てくれるだけで有り難い。」「来れる日だけでもいいから」そういう立場になっていった。
そして、僕はいつもこんな態度だった。
「念珠屋なんで、お盆前は忙しいんですよ!悪いけど出れないっす!ハハ」
いつから念珠屋だけで食えるようになったかはよく覚えていない。
途中からは、身体を動かすのが気持ち良いというだけでジムに通う感覚で行っていたり、仲間に会えるのが楽しいから息抜きに行くだけとか・・だんだんそうなってきた。
最終的には、長年お世話になっていた2軒の水田農家さんの種まきや田植え時期にだけは毎年手伝いに行っていた。収入目的ではなくて、もう恩返しの域である。
その頃になると、逆に田植えに合せて本業のスケジュールを調節していたくらい。
それも後に、1軒が廃業、3年後にもう1軒も田んぼを辞めてしまい、とうとう畑仕事をする機会はなくなった。
別な畑では代替わりして息子さんが頑張っているようなので、その内、冷やかしに行って見たいとは思っている。
おわりに
当然だけど、バイトに疲れ果てて、本業の段取りがなかなか進まないということじゃ、本末転倒。
僕は今でも熱血フリーターの感覚でいる。
念珠屋といっても、念珠以外の売上の割合は大きい。
よそにバイトに行かないだけで、自社内で多角的に幅を持たせる努力は常にしている。
今年は、コロナの影響でまるごと吹っ飛ぶジャンルもあるけど、他の部門で補えばいい。今までもそうやってきた。
それに、本当に食えなくなったら、その日を凌ぐお金くらいなら、いつでも別な仕事で稼ぐ覚悟があるので、何も心配していない。
うちの会社の固定費というのは驚く程少ない。だから、売上が無くなれば、他の収入を得れば簡単に賄えるし、更に状況が厳しくなった場合、もっと縮小することもできる。
そういう、僕なりに考えたリスクヘッジだ。
世の中何が起きようと生き抜けるし、育てた商売を簡単に潰す必要は無い。
食えないから副業というのを、恥ずかしいことだと思う人もいるだろう。
カッコつけると、人生は生きづらい。
仕事も人生も、依存先は多い方がいい。
生活が多様化して、変化のスピードが早い昨今では、その考え方はますます重要になりそう。一つの収入にぶら下がっていると、平時は楽だけど、何かあったら、ダメージが大きすぎる。
子ども達にも、将来なりたい職業に向かって一途に頑張れなんて野暮なことは言わないよ。
自分のアイディアでやるビジネス、雇われて得る収入、頭脳で稼ぐ仕事、身体で稼ぐ仕事、投資などによる不労所得・・タイプの違う物を組み合わせを考えた方がいいと、常々話している。
その為には、学校の勉強だけできても生き抜くのは大変だし、学校の勉強すらできないのは話にならないよね。だから、勉強大事。
中年になった僕にだって、生き方の選択肢はまだまだあると思っているのだ。
ダブルワークというタイトルにしたが、トリプルでも、それ以上でもいい。
スモールビジネスを運営する人は、本業への情熱は全開に燃やしつつも、あらゆる手段を使って、生活を成立たせることを最優先に考えたい。
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次回は、自分磨き。経営における基本姿勢の話。
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