『ゴールディーのお人形』子どもと一緒に読みたい本
《オススメの対象年齢》※独自基準
自分で読むなら 高学年から
読み聞かせなら 幼児から
ゴフスタインのお話しは、ほっこりする中にも、個人的にはとっても刺さることが多く、何度読んでも涙が出そうになる。
この、『ゴールディーのお人形』は、人形職人の話。
「ものつくり」という言い回しが、いつしか日本でも流行ったけど、ものつくりをする人の日常、作品に対する想いが描かれている。
きっと、ゴフスタイン自身も、自分の本が世界中の子ども達に読まれることを、こんな思いで書いているんだろうね。
主人公ゴールディーが作った人形を持った子どもに、自分が作者であることを名乗らないことには、ブランディングについて改めて考えさせられる。
高額な中国製のランプを買ってしまったこと、値切ってしまったことへの後悔、そして本当の満足。
昨今は、手仕事が安く消費されてしまっている。
子ども達にしてみれば、親の職業もよくわからないと言うことが多く、誕生日のプレゼントはオンラインゲームに課金なんて話も聞く。
「仕事してお金を貰うこと」「お金を払って買い物をすること」が、わかりづらい時代になった。
今や、制作と消費がデジタルの世界で完結してしまうことも多いし、ビジネスモデルが多様化して、お金を払う人と使う人が同じとも限らない。
就活の人気キーワードが「安定」というのは、日本の将来に不安を感じているが、子ども達には、仕事とはこういうものだと心のどこかに留めてほしい。
僕自身は、今現在も、主人公ゴールディーと酷似した生活をしている。
強く共感するのは、そのせいだと思う。
絵本から読書へのステップアップとして、ちょうど良いバランスだ。
挿絵が多く絵だけでもストーリーが追えるけど、絵本と呼ぶには文章量が多い。漢字のルビは半々くらいで、本を読み慣れた子なら、3,4年生でも読めるだろう。
ゴフスタインといえば『ブルッキーのひつじ』も名作なので、いずれ紹介したい。