第12回 遺産分割協議で苦労するパターン(特別受益・寄与分)| 学校では教えてくれない相続の話
行政書士の長岡です。相続の話、12回目となる今回は、前回に続いて遺産分割協議で苦労する場面について解説してみます。
遺産分割協議に苦労する場面(その2)
前回は、「相続人の中にこういう人がいると大変ですよ」という話でした。
今回は、「相続人同士の主張がぶつかり合ってしまうと、なかなか話がまとまりませんよ」という話をしてみます。
話がまとまらないパターン
遺言がない場合は、法定相続分を基準にして遺産を分割していくことになります。例えば、親の遺産を兄と弟の2人で分ける場合は、半分ずつ分けるのが基本になるわけです。でも、話し合いをしているうちに、「兄貴だけ海外に留学させてもらったのに」とか、「長男の俺が一人で親の介護をしていたんだから」とか、そういった主張が出てくるかもしれませんよね。
特別受益
ここで弟が言いたいのは、「兄は自分より援助してもらって恵まれていたのだから、遺産の取り分は少ないはずだ」ということでしょう。これは「特別受益」という考え方ですが、その名のとおり「特別」なものでないと認められにくいようです。裁判になった場合は、当時の家計の状況などを踏まえて総合的に判断されるようですね。
寄与分
これに対して兄の主張は、「自分だけが親の面倒を見て弟より苦労してきたのだから、遺産の取り分は多いはずだ」という感じでしょうか。こちらは「寄与分」と呼ばれるもので、名前に「特別」はついていないものの、やはり特別なものでないと認められにくいようです。特別受益と同じように、当時の事情を考慮して総合的に判断されることになるでしょう。
話がまとまらない原因
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