水泳に必要な能力その2
前回、水泳をする土台作りに水遊びが重要だお伝えしました。
こう話すとほぼ100%受ける質問があります。
「どんな水遊びをさせればいいですか?」
もうこれ本当に定番の質問です。
子供のためを思っての質問だとは思います。
少しでも子供の力になりたい。
気持ちはよーく分かります。
しかし、残念ながらこの質問をした時点でちょっと落とし穴にはまってしまってるんですよ。
どういうことか説明しますね。
水遊びの目的は、水の特性(浮力、抵抗、水圧、水温)を感覚として覚えて、水中での身のこなしを上手くすることでした。
感覚として覚えて。そう感覚なんです。
この感覚というのが曲者で言葉で説明することが難しく、他人に教えてもらってもいまいちピンとこないものなんです。
「どんな水遊びをさせればいいですか?」の奥には「どうやってその感覚を教えたらいいか。」という気持ちがあるのではないですか?
でもね。教えたらだめなんです。
なぜなら感覚は人から教わって理解するものではないから。
教えてもらってなんとなく分かるのは水の中で遊んだことがある人です。
水の中で遊んだことが全くない人は教えられてもその感覚は理解できないんです。
この“教えてもらって覚えること”と“遊びを通して自然に覚えること”をちゃんと理解しておかないとなんでもかんでも教えなきゃと思ってしまうんです。
「どんな水遊びをさせればいいですか?」と質問した時点でもう子供をコントロールしようとしてるんですね。
これでは水に対する適応力を高めることは難しくなります。
じゃあどうすればいいのか。
自由に遊ばせましょう。
そう、自由でいいんです。
この自由遊びが大切です。
うつ伏せで浮く、仰向けで浮く、バタ足をする、潜る、手で水を押す、水の中で走る、友達に水をかける、プールでボール遊び、滑り台やウォータースライダーで勢いよく水の中に入る、ゴーグルなしで泳いでみる等々。
子供がやりたいことを邪魔せずに自由にさせてあげましょう。
やってはいけないことは「バタ足やってみよう」「潜って遊ぼう」「ボールで遊ぼう」と大人が誘導すること。
これをやってしまうと大人の感覚で子供を動かしていることになるので子供自身が感じる感覚少しとずれてしまうんです。
水遊びが出来る環境を与えたらあまり何も言わずに子供がやりたいことをさせること。
静かに見守ること。
これが大切なんです。
この静かに見守るということが出来ない方が多い。
でも、何かスポーツをするうえで感覚ってすごく大事です。
水泳で言えば“水の中を速く進む感覚”“バタ足をしたときの脚の感覚”“深く潜ったときの感覚”“身体をしっかり浮かせたときの感覚”“手で水をかいたときの感覚”
たくさんの感覚を感じとりながら目指す目標に向かって泳いでいく。
だから泳ぎ方を教わる前にこの感覚をたくさん体験しておくことがすごく大切です。
そして繰り返しますが、この感覚は人に教えてもらうものではないんです。
水遊びの目的は水に対する適応力を高めること。
でもそれを子供に教えても理解出来るはずはないんです。
水中でたくさん遊んで「水の中って楽しい!」って思わせること。
そう子供が感じられれば水中で身体を動かす感覚は自然に身に付いているはずです。
ここでも楽しく感じさせようとしなくてもいい。
楽しいという感情は子供自身が感じるものであって大人が感じさせるものではないからです。
楽しそうなものや環境を用意してあとは「ご自由にどうぞ!」
これで大丈夫。
あとは静かに笑顔で見守りましょう。
それが我々大人のするべきことです。
(まだまだ続く)