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コロナ禍でやさぐれた私が、オンライン産後セルフケアプログラム開発に携わるまで
私は認定NPO法人マドレボニータ産後セルフケアインストラクターとして、普段は産後ケア札幌教室を担当しています。
・・・が、このコロナ禍で、3月より産後ケア札幌教室は完全休講状態。
それでも、お申し込みや問い合わせをいただきます。
でも、感染者が全国に先駆けて出始め、その数も増減を繰り返す札幌では、赤ちゃんと産後女性に感染のリスクがあることを考えると、すぐの教室再開は私は考えられませんでした。
正直、落ち込んだし、泣いたし、怒ったし、やさぐれました・・・!
「コロナめーーーー!」「くっそーーー!!」、あ、言葉遣いが・苦笑。
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気持ちはどんどん下降していって、3月は先が見えない日々が続きました。
小中学生の子どもたちも休校なので、毎日まいにちご飯の支度。
そうやって、ただ淡々と、家事をしながら過ぎる毎日。
「教室の仕事はいつできるのだろう?」
「この先、一体どうなっていくんだろう?」
「私は、何のために生きているんだろう?」
そんな答えの出ないことばかり考えて落ち込む時期に支えになったのは、なんと韓国ドラマでした。
知ってますか?韓国ドラマの魅力!!私は今更知りましたよ、遅すぎた!!
韓国ドラマは、とにかく登場人物の誰もが感情大爆発!親子&家族愛!!そしてご飯がやたら美味しそう…!景色もステキなあの世界を、1日4,5話一気観しては涙する、そんな1ヶ月を過ごしました。要するに、やることもなく暇を持て余していたんです。韓国ドラマはすばらしかったけれども!!
ちなみに、いまはNetflixで「梨泰院クラス」を鑑賞中です、こちらも熱い・・・!!
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・・・危ない、韓国ドラマ愛を語る記事になりそうでした。
話を戻して。
そんな不貞腐れていた3月末。
インストラクター仲間の岐阜の山本裕子インストラクター(通称ひろりん)が、「オンラインでマドレの公式プログラムをつくってみませんか?」とインストラクターたちに投げかけてくれました。
ひろりんインストラクターをはじめ、何人かのインストラクターはそれぞれ、ストレッチやダンスなど、自分でオンラインレッスンを始めていたんです。
それをSNSで見ながら、「この状況でもやさぐれることなく、新たな方法で仕事を生み出す仲間は、やっぱりすごい・・・!」と、私は羨望のまなざしを送るしかありませんでした。
そして、「それに比べて私は・・・」と、自責の念を強めるばかりでした。
「自分がイヤになる」って、いくつになってもつらいものです。
自分にダメ出ししていると、いつの間にか「周りもみんな、私のことを残念でトホホな奴だと思っているんじゃないか?」「どうせ私は・・・」という被害妄想にまで膨れ上がります。完全なる悪循環です。
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でも、その時のひろりんの、「先は何も見えないし、どう作っていけばいいかもわからないけれど、とにかく一度ミーティングしませんか?」
「よかったら、私が個人で開催しているストレッチレッスンを体験してみませんか?」
のまっすぐな投げかけで、硬くなっていた心が動いたんです。韓国ドラマ以外では、久々に。
「仲間のこの投げかけのおかげで、今のパッとしない日常から脱却することができるかも知れない」
「オンラインプログラム開発にチャレンジすれば。そうすれば、新たな仕事を得て、地域を超えて産後女性たちともっとたくさん、つながることができるかも知れない」
「現状、全ての仕事を失って、ぼんやりウダウダしているだけの毎日。やってもやらなくても、私に失うものは、何もない」
「だったらやろう、好奇心と興味をもってオンラインプログラムの開発にジョインしよう」、とすぐにひろりんの「このゆびとーまれっ!」に乗ったのでした。
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自分で言うのもなんだけれど、インストラクター業をしていると、いつも笑顔で、明るく、前向きで・・・と見られがちです。
実際、私は課題解決が好きだし、好奇心が強めで落ち着きもなく、物事を前に進めたいし、前向きに捉える思考の癖もあります。
そんなお気楽な私でも、日常が激変して、仕事を失って、一時は別人のようになってしまいました。それがコロナ禍、でした。
そんな風に自分では意図しない環境の変化に、驚くほど落ち込んだり翻弄されるのは、「産後」の状態にもよく似ていました。
「そんな産後に必要なのは、『運動』と『対話』」と、私たちは日々産後女性に現場で伝えてきました。
それが、まるでブーメランのように自分に返ってきたんです。
そして素直に、「ホントそうだよ!まずは体を動かさなくちゃ!!仲間と言葉を交わさなくちゃ!」「そこからきっと、何かが始まるはずだ!」と無理なくおもうことができたんです。
それから3ヶ月が過ぎた、今。
先月から、マドレボニータではオンライン産後セルフケア教室4回コースを実施しています。
▼産前・産後のセルフケアオンライン教室
また、4回コースの産後セルフケア教室は、みてね基金の採択と、日体大との研究調査により、参加者の受講料補助が可能になりました。
そのことで、全国のたくさんの産後女性にオンラインで産後セルフケアを届けられるチャンスに恵まれました。
またこの機会を、非常事態における産後女性の心身の状態や変化を、広く社会に知ってもらうためのアクションにも位置付けています。
あの時、ひろりんが声をかけてくれなければ、今のこの状況はありません。
ひろりん、直接も伝えたけれど、あらためてありがとう。
養成コースで1期先輩のひろりんは、全く偉ぶることがなく、質問にはいつもていねいに答えてくれて、フラットに声をかけてくれて、悩んだり、悶々とすることも、隠さずにわかち合ってくれる。
「そのままの自分でいる」「揺らぎも隠さずに伝える」、そんな真摯な姿勢をもつひろりんのお声がけだったから、私はこのプロジェクトにジョインすることができました。
仲間がいる、一人じゃないって、なんて心強くて、ゆたかなことだろうと思います。
ひろりんへの感謝とともに、あの時パッと乗った自分にも、よくやった、と言いたい。
たった3ヶ月前、でも昨日のことのように、焦りや苛立ちの気持ちも、ワクワクした高揚感も、覚えているあそこが転機でした。
・・・と、少し前の時期の振り返りから始めましたが、今回はまず1つ目の記事なので、ここまでで。
次回以降、またさまざまなインストラクターが、このオンライン産後セルフケア教室の様子や、開催の舞台裏、ミーティングでの出来事などなど、いろんな記事を投稿する予定です。
もしかしたら、私がまたはりきって登場するかも知れません。
どうかお楽しみに!
(永野間かおり/認定NPO法人マドレボニータ産後セルフケアインストラクター)