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長野県教育委員会との懇談(業務の範囲編)
2024年12月20日、AEGISは、長野県合同庁舎別館に於いて長野県教育委員会との懇談を行いました。前回は顧問の任命に関する内容をお伝えしています。今回は、教員の業務の範囲に関する内容をお届けします。懇談前に県教委に送った要望・質問はHPをご覧ください。
AEGISの要望に対する県教育委員会の回答
AEGIS『「高体連・高文連・高野連等の業務は教職員が行わなければならないものではない」「業務を押し付けたり辞することを妨げることはできない」旨を全県の県立高校に周知してください』
県教委『高体連、高文連、高野連、等からの役員の委嘱を受ける際には、学校長が、本人が抱えている事情について聞き取り、公務に支障が出ないように本人から合意を得た上で、承知をしてきたという事でございます。引き続き、県立学校長会等で丁寧に協議を行い判断をするよう、校長の方に周知して参りたい』
AEGIS『高体連・高文連の分担金は、全生徒が支払わなければならないものではないと、各校長に周知してください』
県教委『学校分担金については各連盟の規約で定められている。各連盟は、学校のスポーツ、または文化芸術活動の充実や発展をはかることを目的に設立されており、大会やコンクールの運営の他に、調査研究事業等も実施するなど、高等学校と共に、スポーツまたは芸術文化振興を始め、保健体育、音楽美術等の、教科教育の研究に資する活動を行われているという風に認識しております。こうした活動は、芸術文化に触れる機会、教科学習の関連に寄与することから、学校徴収金の基本的な考え方に基づいて、必要最低限の分担金を求めていると認識しております』
AEGIS『明確化されたとする学校教員の業務を示してください。』
県教委『平成31年の文科省の通知(学校における働き方改革の取組の徹底について)、基本的には、教員がやるべき業務と、やらなくてもいい業務という、3種類の業務については、そちらに沿っているとご理解頂いて結構です』
AEGIS『【学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)H31.3.18】を踏まえ、肝心の教育委員会の皆様や管理職の先生方の意識は改革されていますでしょうか?』
県教委『働き方改革マネジメントについては、非常に大事な力であると、私たちも認識をしているところであります。先生方の勤務や学校長のマネジメントのことも非常に我々も考えなきゃいけない。我々も相当口酸っぱく言ってはいる』
AEGIS『部活動の地域移行について、中学校については力強く進めてくださっている印象ですが、高校についてはいかがでしょうか?』
県教委『国においても、高校についてはまだ触れていないところ。
高体連の大会参加規約を見ると学校単位です。地域クラブは当然大会に出られないです。そうした場合、インターハイとか出場を目指しているお子さんにとって、地域クラブに入ると目標としている大会がなくなってしまう。ここで仮に地域クラブを創設したとしても、生徒のニーズに応えられるのかというのは、非常に疑問が残ると思います。国が、高校の方にもっていう動きがあれば、その動きに注目して、当然本局としても、真剣に考えて行かなくてはならないし、生徒の思いを無視して勝手に地域クラブを高校でもっていうのはいけないことと思っています』
所感
高体連等役員
高体連・高文連・高野連の業務は、『公務に支障がでないように』『本人から合意を得る』ということでした。高体連・高文連・高野連は学校とは別の団体であり、一般的にはこれらの団体の公務ではない業務を勤務時間中に行う場合、職務専念義務の免除が必要です。これらの団体の業務が公務に当たるか否かについては、生徒引率を伴うか等、ケースバイケースのようです。
分担金
高体連・高文連という学校と別の組織が「全ての生徒のスポーツや芸術文化に触れる機会を創出、教科学習の関連に寄与している」のでしょうか?これは、部活動に所属しない生徒からも分担金を一律徴収する理由として納得できるでしょうか?AEGISは、高体連・高文連の分担金を、部活動に所属しない生徒含め、全生徒から徴収する今の在り方には反対です。なお、一律徴収は長野県だけの問題ではないようです。
業務範囲&働き方改革
長野県は2017年に『学校における働き方改革推進のための基本方針』を出しています。2022年には、その範囲を小中学校から高校、特別支援学校にも広げました。県教委は、2019年文科省発出『学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)』をもって業務が明確化されたとしています。そこでは、部活動は『必ずしも教師が担う必要のない業務』です。その認識を県教委も持っていることは確認できました。さらに、今回の懇談では県教委が学校の働き方改革に強い思いを持っていることも確認できました。しかし、少なくとも私たちAEGISメンバーには、働き方改革が成されているという実感を持っている教員はいません。働き方改革の具体的な話は聞けませんでしたが、県教委は働き方改革について、学校長の責任を示しています。
地域移行の進展
長野県では、令和8年度末を目標に休日の中学部活動を地域クラブへ移行します。県内の市町村はよく取組んでいるようです。しかし、高校についての取り組みは皆無です。高校の部活動にも持続可能性は求められます。インターハイの出場規定などは働きかけや実態に応じて変わります。高校の部活動の地域移行に取り組まない言い訳のような県の回答は、残念と言わざるを得ません。
中学校部活動の地域移行には期待するところですが、しばらく学校が部活動を抱える構造は変わりそうにありません。ですから、部活動にお困りの長野県公立学校教員の皆様、AEGISにご相談ください。そして是非AEGISに加入して私たちと一緒に「望まない教員が顧問を強いられない環境」を整えましょう。HPまたはXのDMからご連絡ください。
学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)H31.3.18
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1414498_1_1.pdf