部活動の顧問を強制しないことを求める請願に対する長野県教委の回答
私たち長野県の部活動を考える会は、2022年1月28日に「全国中学校体育大会を主催しないことを求める請願」を、5月26日に「部活動の顧問を強制しないことを求める請願」を、それぞれ長野県教育委員会に提出しました。
最初の請願から1年2カ月が経った2023年3月31日、遂に県教委の回答が私たちのもとに郵送されてきました。両請願の内容と県教委の回答、当会の考察を2回に分けて紹介します。2回目の今回は「部活動の顧問を強制しないことを求める請願」についてです。1回目についてはこちら。
請願の内容
部活動は学習指導要領で学校教育の一環と位置づけられてはいます。しかし、勤務時間外に及ぶことがほぼ確定している部活動顧問業務の全てを職務命令によって教職員に命じることはできないはずです。そこで、以下の①②③を長野県教育委員会へ求めました。
① :学校長は、教職員に対して部活動顧問への就任を強制しないこと
② :学校長は、各教職員に対して部活動顧問をするかどうかの意向を確認し、望まない教職員を部活動顧問に配置しないとともに、その教職員にハラスメントをしない・させないこと
③:上記①②を長野県立中学校・高等学校、全市町村教育委員会に周知すること
県教委の回答
以下の内容が長野県教育委員会の回答です。
考察
請願への回答を解釈すると、以下のような結論になりました。皆さんはどう考えますか?
部活動顧問は強制できないとの認識か?
「部活動は職務として命じることはできる。しかし、顧問の任命は押しつけやパワハラとならないようにする」との回答でした。まるで政治家の回答のような言い回しです。この表現の意図を汲み取り言葉を補足して、分かりやすくしてみました。
「勤務時間内に限っては、教育活動である部活動顧問の業務を職務命令することはできる。しかし、教員に(必然的に勤務時間外に及ぶ)部活動顧問になることを(希望していない教員へ)押しつけることはしない。あくまで、(引き受けてくれる教員には)顧問になるよう命じている」
()内は重要な点ですが、法的に問題だったりすることから、敢えて回答に記載していないと考えられます。昨今の部活動に関する社会的潮流から、教員に顧問を押しつけることはできないと県教委は答えていると言ってよいのではないでしょうか。
部活動顧問は押し付けやパワハラできない!
県教委が「部活動顧問の任命に当たっては、今後も押しつけやパワハラとならないよう県立中学校・高等学校長に指導を重ねてまいる。小中学校長には、管内、市町村教育委員会を通じて管理下の各校へ指導を行ってまいる」と回答したことは極めて重要です。
長野県の公立中学校・高校教員の皆様、県教委はこのように回答していますので、部活動顧問を押しつけられそうになりましたら、「長野県の部活動を考える会の請願に対して県教委は『部活動顧問の任命に当たっては、押しつけやパワハラとならないようにする』と回答しています」と胸を張って言ってください。この請願の回答が根拠となり、当会の目的「望まない教員が顧問を強いられない環境を整える」達成は、大きく前進したと言っていいでしょう。
まとめ
長野県教委の「部活動の顧問を強制しないことを求める請願」に対する回答を紹介しました。県教委は「今後も、部活動顧問の任命に当たって、押しつけにならないよう、校長を指導する」と言ってくれています。これを根拠に顧問の押し付けやパワハラを防ぐことができるでしょう。また、そのようにならないよう、県教委が校長を指導することが確認できました。
法的にも、部活動は超勤4項目に含まれませんので、勤務時間外に渡って教員に部活動業務を命じることはできません。部活動をしている場合「教員が自主的にやっている」ことになります。しかし、休日の部活動に特殊勤務手当が支払われるのはなぜでしょう?公務災害の対象になりえるのはなぜでしょう?「自主的」が「強制」される土壌だけが残って現在の制度になってしまっています。