長野市SDGsフォーラム まとめ①
2022年10月16日(日)長野市芸術館アクトスペースにて長野市SDGsフォーラムが開催されました。
脳科学者の茂木健一郎さん、モデルのトラウデン直美さんをゲストに迎え、荻原市長と長野市在住のZ世代の若者がトークディスカッションを行いました。
どんなトークが繰り広げられたのか、ぜひご覧ください!
茂木健一郎氏
SDGsは本当に素晴らしい、包括的な人類の未来を導く目標です。
貧困をなくすとか、どんな人でも教育を受けられるようにしようとか、LGBTQや女性の社会進出の問題を取り上げた「ジェンダーの平等」など、我々が人間として大事だと思うことはすべてSDGsの中に含まれています。長野市はSDGs未来都市に選定されているということで、本当に素晴らしいことだと思います。僕は長野に来るたびに、ここに根付いている知恵を感じます。お年寄りが長年、当たり前のようにやっている生活習慣などにSDGsの種があると思います。
トラウデン直美氏
SDGsは、人それぞれの解釈で良いのではいのではないかと思います。自分と自分の周りの全て。自分の手に負える範囲の全て。環境も人も、いろんなものがしあわせで豊かであるという状態を地球上の全ての人が目指せるかどうかということではないでしょうか。
私が思い描いていた「自分と自分の周りを愛する」という概念から考えると、長野の皆さんの故郷に対する愛をすごく感じます。特産品だったり、景色だったり、自然環境だったり。自分たちの周りのものをすごく愛していらっしゃるんだなという雰囲気が長野市全体に漂っていて、そこに魅力を感じます。
荻原健司市長
SDGsは2030年までに持続可能な世界を作っていくための目標で、長野市もSDGsを基本に市政運営をしております。特に1998年の長野オリンピックは「自然との共生」を基本理念として開催され、オリンピックのレガシーとして市政運営にも反映し、昨年の5月には国からSDGs未来都市に選定されています。
今回は、茂木健一郎さんとトラウデン直美さんに加えまして、長野市内で活躍されているZ世代と言われる若い方々にご参加いただき、SDGsの理解を深めていきたいと思います。
“Z世代登壇者のSDGs”
青木寛和さん(古着屋TRIANGLEメンバー)
トラウデン
まずは青木さん、篠田さん、菊地さんに、どんな活動をしているかをお伺いします。
青木
私はトライアングルという古着屋を経営しています。
多くの古着屋が東京や海外で買い付けてきたものを扱っていますが、うちの服はほとんどが地域の方から寄付していただいたもので、ご高齢の方からの寄付が多いです。
トラウデン
もともとお洋服が好きで始めたのですか?
青木
そうですね。高校時代から古着を着ることが多くて、今着ているものも古着です。古着が好きになったきっかけは、叔父のおさがりをもらうことが多く、他の人が着ていないところもカッコイイと思ったからです。
トラウデン
篠田さん、菊地さんも古着を着る機会はありますか?
菊地
このズボンはトライアングルさんのものです。イヤリングは祖母のものです。
篠田
私のセットアップも古着です。
トラウデン
古着の魅力は一点ものだったり、リメイクでさらに自分色にカスタマイズできるところも魅力ですよね。
篠田恭椰さん(信州大学工学部 佐倉研究室)
トラウデン
続いて篠田さんにお話を伺います。
篠田
私が所属している佐倉研究室では6、7年前から「まち畑プロジェクト」という活動をしています。善光寺の門前は空き家のリノベーションが盛んで、全国的にも街並みが評価されていたのですが、一方で空き地が増え、雑草が生えている状態でした。そこで私たちが地域の方と一緒に畑を区割りして使ったり、建築学生がピザ窯を作ったりして、楽しい空間にしていく取り組みをしています。
トラウデン
畑に注目したのは、なぜですか?
篠田
佐倉先生が、海外のまち畑の研究をされていて、まちが縮退していく中にも美しい景観が保たれている場所がありました。
それがコミュニティガーデンだったことから、長野市でも同じようなことができるのではないかということで持ち込まれました。
トラウデン
地域の方との繋がりを感じますか?
篠田
畑にヤギやニワトリを飼っていて、世話をすることで地域の方とコミュニケーションがとれたらと考えています。
トラウデン
地域のコミュニティを作っていくという意味でも素敵な活動だと思います。
市長
長野市内に空き家や空き地が増えていますが、それを有効活用することもSDGsだと思います。こういう活動が地域に根付いて、いろいろな方々と交流するのは良いですね。
茂木
建築家の隈研吾さんは、最初はポストモダンの建築物を作っていたけれど、いつ頃からか「負ける建築」という、その土地の環境や文化を反映して、建築家のエゴをあまり出さないようになっていって。思うような建築を作りたいという気持ちの一方で街並みに溶け込んだものをということもある。
篠田さんはどう思いますか?
篠田
「まち畑プロジェクト」の空き地のデザインは、遊びというか、面白さを求めています。もうちょっと人が増えて、一緒に楽しんでいけたらなと思います。
菊地美希さん(長野県立大学)
トラウデン
菊地さんはどんな活動をされていますか?
菊地
私は長野市にあるR-DEPOTという会社でインターンをしています。
SDGsに貢献しているという意識はなくて、いろいろな活動に関わっている中で「それってSDGsだね」と言われて気が付くことが多いです。
篠田
佐倉研究室が昨年受賞した「信州SDGsアワード」も、最初は他薦でした。その後自薦でやることになり、初めてSDGsのことを詳しく調べました。
やりたいことの延長にSDGsがあったという感じです。
茂木
SDGsに取り組んでいる人って、精神年齢が成長するんだね。皆さん成熟している。市長、教育にSDGsを取り入れる意味は、彼らのように社会のことや自分のことが分かる若者が育つという効果もあると思います。
市長
学生のエネルギーやアイディアを受け止めながら市政に反映させていきます。
トラウデン
三人の表情を見ていると、楽しんで活動しているのが見えます。
学生同士のつながりが持つ力も大きいのではないでしょうか?
篠田
信州大学は長野県内にキャンパスが分散しているため、なかなか熱が上がっていかないことがあります。県立大はどんどん人が繋がって、盛り上がっているのがすごいなと思っています。
僕たちも研究室単位ですが、なるべく学生間で密になって、自分のネットワークを築きながら研究室に持ち帰るということは努力しています。
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