デジタル化と地方自治 岡田知弘 中山徹 本多滝夫 平岡和久
小田原市で「ゼロカーボン・デジタルタウン」の話が出ていますが、この本にそれに類似した例が出てきます。
今の所は市民生活に関する部分は行政が計画を立て、その中に企業が提供するサービスが含まれています。しかし、デジタル化に伴い、行政とインフラサービスを提供する企業の関係が逆転しかねない。
デジタルタウンのように、そのエリアにおいて市民サービスが自治体に変わって企業主導になっていくと、利用者と企業の契約になり、様々な料金が発生するようになる。
例として出てくる、更別村のSUPER VILLAGE構想で提供されている「ベーシック・インフラ」は月額3,980円必要。「ベーシック」と名付けられているが、月額3,980円を払うことが難しい家庭は「ベーシック」なサービスを受けることができない。
必要のない人にまでサービスを提供する無駄なコストが減るとも言えるが、必要な人が必要なサービスを享受できない格差社会になると考える方が、インフラの本旨としては即しているはずだ。
また、こうしたデジタルタウンの開発では、かなり行政が強権的に地域の作り変えを行うことになる。デジタル化に反対の住民は立ち退きをする必要があるのか、また有料の新サービスをうけない場合にこれまでのインフラを利用が可能なのかなど、市民の生活の根底に迫ることになる。
小田原市の場合は少年院跡地となっているので誰も住んでいないエリアだが、隣接地の住民に影響がないかなども考えられる。
デジタルを万能のように称え、デジタルが地方の問題を解決し、さらには近未来のような市民生活の到来をヴィジョンとしているデジタル構想だが、本質を理解して、地域行政が市民の自治の関与を保障して、企業に委ねることなく丁寧に地域の作り変えをしていくことが必要なんでしょうね。
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