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勝利の日︰改宗記念祭

 去る10月13日(日)、首都圏某所にて在日インド人仏教徒の非営利団体:B.A.I.A.E. の主催による『第68回 転法輪祭(アンベードカル博士改宗記念祭)』が開かれました。

 今回、司会を務めてくれた若者コンビ。青年が流暢な日本語でユーモアを交えつつ進行。その文節ごとに、お嬢さんが美麗な発音の英語に訳す、という息の合った掛け合いでした。

 まず最初はパーリ語のお勤め。読経と祝福に対し、感謝の花束を供養していただきました。

仏教徒と私︰髙山龍智

 続いて、中核メンバーによる基調講演。彼らとは、かれこれ二十年の付き合いになります。

 日本で暮らす女の子がそれぞれ英語でスピーチ。テーマは「私達と仏教」、「智慧のために慈悲を」。その高度な内容に、司会青年も驚いていました。

 さて、お待ちかねのエンタメ・コーナー。ちびっ子デュオのお遊戯に会場全体が〝ゆるふわ〟状態…。もう、完敗です。

 仲睦まじいカップルによるマラーティー語の『アンベードカル讃歌』。
ウクレレの弾き語り&インド風音階&仏教的歌詞、という文字どおりプログレッシヴなアプローチでした。ていうか、愛しか勝たん。

 親と子が一緒になって演じる舞踊劇『お釈迦様の悟り』。
子供たちが手で〝蓮の花〟をつくる中に、仏の光明を意味する電子ロウソクを立てて、悟りの瞬間を表現しています。後ろに見えるテント風の大道具は菩提樹を表しています。

女の子が演じるゴータマ・ブッダ

 今年の記念祭のクライマックスは、若き〝飛天女〟による創作ダンス。
「ジャイビーム・ブルー」と呼ばれるシンボルカラーの衣装を身にまとい、アショーカ王のマウリア(孔雀)朝を表した「鳥」の姿で繰り広げる圧巻のパフォーマンスは、まさに必見☆です。
《YouTube動画︰3分15秒/画像をClick》

『希望の青い鳥』

 式典の最後は私の法話(ヒンディーから邦訳・抄出)。
如来等正覚、ならびに菩薩聖者アンベードカル博士に帰依し奉る。今日は、仏陀の国に仏教が復活して六十八回目の記念日ですね。心から嬉しく思います。
 さて御承知のとおり、皆さんの祖国は今、経済発展の陰で少数派を抑えつけています。ここ日本においてもインド政府が関与する行事には、その影響がありました。「仏教復興運動は現政権の支持層に馴染まない」と仏式の礼拝が止められたのも、今年のことでしたね。
しかし皆さんは、そんな時でも屈することなく、声高らかに「ジャイ・ビーム!」を唱え続けて来られました。これは皆さんの勝利です。正義の勝利です。仏教の勝利です。
アンベードカル博士はこのように仰いました。
「正しきことは、常に平等である。格差には必ず補償をするのが正しさだ。一言で云うなら、正義とは自由・平等・兄弟愛の別名なのである」と。
私が思うに、自由とは仏宝、平等とは法宝、兄弟愛とは僧宝です。そして、この『三宝』を一言で云ったのが、ジャイ・ビーム!です。

「ジャイ・ビーム!」

 ── 以下は余談。
 現代インドの改宗仏教徒について、日本のお坊さんや仏教研究者は、まず大概〝数(かず)〟を聞いて来ます。「何人ぐらいいるんですか?」と。
それには前提として、カースト差別に関する認識がないと〈ただの数字〉になってしまうのですが、そこはぬるりと通り過ぎるようです。
 例えば、イジメが横行する学校で「実際イジメ被害に遭ってる子は全体の何割ですか?え、少数派じゃないですかあ」などと言う宗教者がいたら…、と考えれば、お分かりいただけると思います。

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