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2024.1.22 公園で食べた丸パンの匂い
通っていた高校はアクセスが悪くて駅が遠くバス停も近くになかった。なのでほとんどの生徒は自宅から自転車で通っていて、わたしもそうだったんだけど、入学したばかりの何か月かだけ電車で通っていた。途中の乗り換えの大きな駅のビルの中に本屋さんがあって、帰りにそこに寄って、読むのはお菓子とかパンの本ばかりだった。
お菓子とかパンを作るのは、本にのっている写真のお菓子とパンが食べたいから、という以外に理由がなかった。北埼玉に住んでいて、本で東京にあるおいしいと有名なケーキ屋さんやパン屋さんをチェックしては、行きたいなーと憧れていた。
なので、就職して上京したとき、楽しみだったのは憧れのお店に気軽に行ける、ということだった。ひとりで、ほんとうにいろいろなお店に行った。どのお店も、店構えを見るだけで、わー雑誌にのってたやつ! とわくわくしたし、ケーキやパンはどれも信じられないくらいおいしかった。
マルイチベーグル、かいじゅう屋、エーグルドゥース、オーボンビュータン、ブーランジェリーケンはアパートが近かったからよく行った。
今、好きなのは、近所のスーパーのチョコレート。板チョコで、輸入品の、カカオ70%のチョコレートが、とてもおいしくて、家にあるとすぐなくなる。大きめの板チョコの半分を一気に食べてしまう。もうなくなるのでまた買いに行かないといけない。
パン屋に行って、帰り道、お店の近くの公園のベンチに座って食べるのが好きだった。かいじゅう屋の丸パンを、天気がいい日だったけど風が少し強くて、茶色い紙袋から取り出して、紙とイーストの混じったあたたかい湯気がすごくいい匂いだった。
アパートの近くにいた野良猫に名前をつけていて、たまに会えるとうれしかった。
駅前のスーパーで流れていた応援歌みたいな音楽を今でも覚えている。