2023.12.13 忘れていた映画のタイトル
ユリイカ2003年8月号「ワールド・カルチュア・マップ中国 中国映画における日中戦争の描きかた 藤井省三」の中で、『鬼が来た!』が取り上げられていた。最近書いた小説の中で、この映画のことを書いていた。内容にはっきりと触れたわけではない。というか、書いている最中にこの映画のことを思い出したんだけど、こういう映画があったよなー、というのを思い出しただけで、肝心のタイトルや出演者については全然覚えていなかった。だから、このユリイカの記事を読んで、これだった! と思った。
どういう内容かというと、中国の沿海部のある村の村長の元に、ある夜、謎の麻袋二つが届けられる。中には日本兵の花屋と中国人通訳が入っており、花屋が俺を殺せと喚くため、巻き添えを恐れて通訳は中国人側へのお世辞にすり替えて訳す。それからまあいろいろ、日本兵捕虜と中国農民との危ういコミュニケーションが描かれているというもので、わたしはこの映画を15、6年前、フレンチレストランに勤めていたときにそこの料理長がDVDを貸してくれて、それで観た。その料理長はわたしに他にもDVDを貸してくれて、『ゆれる』とか『図鑑に載ってない虫』とかを貸してくれて、どういう経緯でそれらのDVDを借りることになったのかは覚えていないけど、多分わたしが好きそうと思ったのだろう。
『鬼が来た!』も『ゆれる』も香川照之が出ていて、とにかく香川照之の演技がすごいから観ろ! と料理長は言っていて、観たら確かにすごくて、すごかったです! と感想を言うと、だろ! と料理長は頷いていた、あの料理長、今はどうしているだろう。香川照之の今をどう思っているだろう。
で、ユリイカの記事によると、確かに日本兵役の香川照之と、村長役の姜文の演技は高く評価できるけれども、歴史認識に関する問題点が多々あるということ。わたしはこの映画を観た当時、そのことを知らなかったから、ただただ演技とか映像の感じとかがすごいなーと、あとラストシーンがものすごく強烈で、そのラストシーンについての印象みたいなのを、全然この映画の名前とかは出さずに、というか覚えていなかったのだから出しようがないけど、最近書いた小説の中に入れていて、たまたま手に取ったユリイカの中に映画のタイトルを発見して、これこれこれ! となった。
『図鑑に載ってない虫』も、ものすごくおもしろくて、わたしは借りたあと自分用に買ったんだけど、今は手元にない。監督は三木聡で、この映画を観てからわたしは三木聡が監督をしていたり脚本を書いていたDVDばかり観ていた時期があった。シティーボーイズのコントの脚本も書いていて、面白かったなあ。
近所の本屋さんに行ったら、『大阪の生活史』と『自分以外全員他人』が棚に表紙がこっちを向く形でばばんと置かれていて、おお! と思った。『東京の生活史』や前回までの太宰治賞受賞作は置いていなかった。欲しい本がたくさんあり過ぎる。十月に誕生日だからといってこれでもかと買った本がまだ全然読み終わっていない。
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