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柳田國男の球

 ちょっと前にXを眺めていたら、柳田國男の球の写真を発見した。
 これが、あの! とわたしは感動したのだけど、感動しておいて、柳田國男の球って、なんのことだっけ? と思い出すことができない。
 柳田國男の球にまつわる話をどこかで見聞きしたことだけは覚えているのに、わたしはそれをどこで見聞きしたのか、どんな話だったのかが思い出せず、ただ、その話を知ったとき、これは面白い! と思った、ということだけを覚えていた。
 球の写真を見た数日後、小林秀雄の『考えるヒント3』を読んでいたら、その中に、柳田國男の球の話が出てきて、これだ! となった。
 柳田國男が14才のときに預けられていた家の裏に祠があって、そこに、おばあさんが大切にしていた石の球が供えられていて、それを見た柳田國男は、不思議な、奇妙な感じに襲われ、しゃがみ込んでしまい、空を見上げると、晴れた空に、数十の星がきらめいていて、ひよどりがぴいっ、と鳴いて、それを聞いて我にかえるのだけど、それがなければ、発狂していただろうという、そういう球で、球は、灰色と濃い黄土色と薄い黄土色が混ざった色で、とても丸い。
 この「不思議な、奇妙な感じ」というのが、具体的に書かれていないのが、リアルで良い。
 最初に球の話を読んだときに想像していた球と、実際のその球とでは、色も模様も全然違ったのも、良い。

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