俳句にも生かせる番組『言葉にできない、そんな夜。』
NHKのTV番組
『言葉にできない、そんな夜。』
今回、初めて観ました。第7回です。
小説家やミュージシャン、俳優が
あるシチュエーションやテーマを「自分の言葉」で表現、そしてそれぞれの作品について鑑賞。
さらに、既存の小説や歌詞の中では
同じことがどのような言葉で表されているかを紹介&語り合う。
出演者の表現ジャンルが異なるため、
言葉を多く使う表現に長けている人もいれば、言葉を削ることが得意な人もいる。あるいは、行間でみせようとする人も。
ただ、全員に共通している表現アプローチだな、と思ったことがあります。
それは「視点」を明確にした言葉選び。そして、「シチュエーションやテーマにない」ことについて想像を膨らませ、いかに言葉を「映像化」するか。
気持ちや感情を描写するには、
「悲しい」「嬉しい」といった言葉をダイレクトに使うのが一番近道かもしれません。
でも、それだけでは主体の感情はわかるけど、気持ちの表面の底にあるものは見えてこないし、作品の奥行きは生まれない。
言葉を自立させ深みを与えるためには、言葉の背中側からのアプローチが大切になる。
そのとき、与えられたシチュエーションやテーマのどこに視点を据えるか。
それにより、表現の核は定まるし、自ずとオリジナルの言葉選びもスムーズにスタートできる。
そして、出演者の方が仰っていたのですが、「絵(画)が浮かぶ歌詞は素敵」。
これはまさに、俳句も同じ!
言葉による「映像化」ができると、
自ずと言いたいポイントが定まるし(省略)、他者が共感できる作品になりやすい。
さらに俳句では、内容に適した季語が見つけやすくなります。
対象、または与えられたシチュエーション(テーマ)からどんな映像を見つけ、描写していくか。それにより、語らずとも気持ちは言葉やフレーズに宿る。
あるいは全てを言わずともほのめかすことで、逆に言葉の中の感情や人間をイキイキ描くことができる。
そのことが、また作者の表現のオリジナリティに繋がる。
そのためには、観察力が必要。
観察力があれば、少ない情報から想像する力を育んでくれます(そして、良い意味での妄想力も養ってくれる)。見る力は、表現に根拠と説得力をもたらしてくれます。
ちなみにこの番組タイトル、
言葉にできない(8文字)
そんな夜(5文字)
で、短歌や俳句、川柳の「七五調」を意識したネーミングなんですよね。
企画者は短詩型にも馴染みのある方なのかな?
この番組を知ったのは、お世話をしている初心者向けの俳句の集まりででした。
教えてくださり、ありがとうございました☆
最後に、第7回で出たシチュエーション(テーマ)の課題について、私も俳句で考えてみました。
いやースゴイ難しいですね(^^;)
お粗末さま、でございます(--;)
●昔からの友達と価値観が変わってしまったとき
夕焼や知らない道へ帰る君
●もう半年経ったと気づいた時
下半分白きページよ南風
●元恋人の結婚を知った時
似た日傘さしたる他人「おめでたう」