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【俳句14句】かなしき遊び~夏目友人帳 漆 第十一話「名前を教えて」に寄せて

かなしき遊び

とほき日の花野は蒼きレクイエム
いつもひとり彼女は色なき風の中
秋の蝶笑顔の仮面はづさずに
爽やかに恥づかしさうに名を訊かれ
勝負しませう秋虹の少女たち
約束のやう手のひらの青きアメ
寝転べば呟き秋の雲となる
秋しぐれ名乗ればふたたびの独り
花の降る花野こころの鍵捨てて
草の花かなしき遊びはじまりぬ
妖のこゑの届かず秋暮るる
待つうちに少女は秋夕焼の果て
八千草にあをく残りし祖母の夢
呼び合うて笑顔の満つる大花野

夏目友人帳 漆 第十一話「名前を教えて」に寄せて

ソラノメは夏目君の祖母レイコさんとの勝負に負けて名前を差し出した最初の妖。そのソラノメが回想するレイコさんの若き日々、そして友人帳が始まったきっかけ。お話の殆どがソラノメの語りによって構成されるので、津田健次郎さんはこれ以上ないくらい適任だった。声と語りにこれほど力のある方はなかなかいないと思う(ちなみに、現在放映中の「チ。」では残酷な悪役ノヴァクもやってらっしゃっていて声の演技力の幅広さに改めて魅了されました)。友達になれたかもしれないレイコさんと蒼子ちゃん。小さな誤解とすれ違いが二人を分かってそれっきりになってしまった。でも、レイコさんには夏目君という孫がいる。彼女が大人になって「独りではなくなった日」が来たのだ、そう信じたい。限りない痛みと悲しみに満ちた本作品。脚本は村井さだゆきんであることからも満を持して発表された映像作品と思う。素晴らしい映像化に只々感謝。


※俳句14句は、放映された物語からインスパイアされて作者(私)が詠んだものです。
今回、レイコさんと蒼子ちゃんの回想部分のみをテーマとしました。そのため映像は「秋」と判断・作成しました。また、内容や必要性から無季の句も含めました。
インスパイアに基づく俳句なので、必ずしも物語通りの映像でなかったり、物語に登場していない事物が登場することもあります。 ご了承くださいませ。

お読みいただき、ありがとうございました。 「夏目友人帳 漆」第十二話は「このお話が最終話だったらいいね」と家人と話していたら本当にそうなってびっくり! の「夢路より」。 放映が今からとても楽しみです😊

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