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【俳句12句】あの日~夏目友人帳 漆 第十話「約束の残る家」に寄せて

あの日

日盛をくねりて神の訪へる
忘却の呪詛に覆はれ夏座敷
淡々と負ふ祓ひ屋の理を
解術のことば瀑布となりにけり
恩返ししたいと炎ゆる目に涙
雷鳴と化し放埓な神の四肢
約束の果たされ空蟬の屋敷
振り向きもせず祓ひけり灼けながら
恋ひとつ胸の泉へそれつきり
夕焼けて独りの自由吸ひ込みぬ
暮れかかる空にあの日の枇杷の色
受け取つてきつと今度は甘い枇杷

夏目友人帳 漆 第十話「約束の残る家」に寄せて

第九話と繋がるお話の後編。この作品も原作で読んだときから感慨深くて、特にラスト近くの的場さんが語る名取さんとの枇杷の思い出と「こんなちっぽけなこともうまくまわりはしないんだなと…」の言葉が今回の映像化で改めて胸に沁みた。
名取さんと的場さん。同じ祓い人で年齢は近いが立場や環境、家が違う。近いのか遠いのか、どちらとも言えない関係性。私自身、自分が活動している俳句で少し似た経験がある。距離があるが意識し合っていて何かを共有している、無視できない相手。そんな相手が自分の作品について公的な場で言及してくれると他の人からの言葉とは少し違う意味合いで胸に響く。
それ以外にも今回のお話は孤独や喪失、自由などについても様々に想いを馳せ考えさせられる名作と思います。映像化に感謝です😊


※俳句12句は、放映された物語からインスパイアされて作者(私)が詠んだものです。
今回、映像から季節は「夏」と判断・作成しました。また、内容や必要性から無季の句も含めました。
インスパイアに基づく俳句なので、必ずしも物語通りの映像でなかったり、物語に登場していない事物が登場することもあります。 ご了承くださいませ。

お読みいただき、ありがとうございました。 「夏目友人帳 漆」第十一話は友人帳という原点に立ち返る「名前を教えて」。 放映が今からとても楽しみです😊(終了が近いのがホントに淋しい……)

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