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個展「Lost and Found」について③

いよいよ個展が近づいてきました。来週の水曜日から始まります。
本当はもう少し前からちょっとずつ投稿するつもりが、計画が狂いました。スケジュール通りに進めるのが苦手な自覚はありましたがまさかここまでとは…。
それでもとにかく、書くと決めたことはがんばって書きます。

前回、前々回の記事はこちら


今回はモチーフについてです。最近InstagramTwitterでは徐々に展示予定作品をあげていますが、複数の作品に共通して出てくるモチーフがいくつかあります。
建物のガラス(のうつりこみ)、雨と水たまり、花束。これらのモチーフは意識的に何度か描きました。個展のメインビジュアルにしている「Lost and Found」という作品の中にはこのうち二つの要素が入っています。

この世界はもうひとつふたつみっつ…いくつもあって、たまたまいま「この世界」を認識しているだけじゃないか、別の世界にいったら別の法則や価値観があるんじゃないか、そんなことを思うことがあります。普通に生活していて意識することは薄いですが、ふとした瞬間になんで「この世界」のルールにのっとって生活してるんだっけ…と思います。妙な気持ちです。
別の世界といえば、小さい頃に見ていた世界と、いま認識している世界も「別のもの」であるような気もします。小さい頃になにを考えて、何を感じて、結果どういう行動をしたかをよく覚えているほうなのですが、(当時わたしをみていた大人からは無茶苦茶に見えても)当時の世界観の中では至極まっとうに理屈が通った行動だったことをはっきりと覚えています。別の世界を生きていたのでしょう。
ちなみに、小さいころといまとでは時間感覚が顕著に違うな、ということを思い返しこの「待ちぼうけ」という作品を描きました。

(さらに余談ですが、世界堂で六角形キャンバスを見つけて描こうと決めたのですが、六角形というもともと直線が6本もある形に直線の要素を多く盛り込んだらおもしろいのではないか、というのが作画のうえで考えたことだったりします)

「別の世界」のお話に戻ります。街の中で見かけるもので、「別の世界」があることを端的に彷彿とさせるものといったら、ガラスやみずたまりの反射じゃないかと思った次第です。単純ですが。しかし面白いのが鏡とちがってあいまいに反射するので(ガラスの場合は中になにがあるかによって反射の具合が変わりますし、みずたまりは水が風に揺れたり深さだったり…いろんな要素で反射の具合が変わってきます)、なにか別の世界にいざなっているような感じがあることです。(ソール・ライターの写真をみるとむしろいまこちらの世界とどちらが虚構かさえわからないどころか、あっちの世界のほうが現実な気さえします)。

もし別の世界があったとして、それを確実に認識しうる能力は「Lost」してしまったのかもしれません。ただなにか契機があれば「Found」できるのかもしれないですし(みつかるのがいいことかもわかりませんが)、別の世界があるかもしれないと思うことそのものがちょっぴり自由をくれてるかもしれないです。
多くの人が行き交い流れる街の中でこんな瞬間に巡り合えたら、難しいこと抜きでちょっと幸せですね。

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苗個展「Lost and Found」
場所: MOUNT Tokyo
東京都世田谷区駒沢2-40-6
駒沢大学駅から徒歩10分
期間: 2022年4月20日(水)~5月1日(日)※月・火は休廊
11:00~18:00(最終日は17:00まで)
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