#自分にとって大切なこと
そもそも、「大切なこと」とは何だろうか。
人間は感情を言葉に表すことで意思疎通を図っている。
つまり、言葉の数だけの感情がある。感情には実に多くの種類があり、未知なものである気がする。
私がその感情に気づいたときは、私の祖父が死んだ時だ。
私は今まで、祖父母や従兄弟とは疎遠な方だった。
それは、従兄弟には近しい年の人もいなかったしどこか他人事だった。
祖父母宅にも子供の頃はたくさんお世話になっていたらしいが
記憶が確かになってきたころが年に数回くらいしか訪れなかった。
そして、その祖父が昨年亡くなった。
葬式の後、祖父母宅に帰ったとき、1枚の紙があった。
祖父は川柳が趣味だった。
「優しさに強く騙され易い人」
そこにはそう書かれていた。
それを見た後、私の目から涙があふれてきた。
涙は、自分の心とは裏腹に流したくなくても自然に出てくる。
自分の体に負けたみたいだ。
私は、それの意味をずっと考えていた。
「優しい」ということは、良いことなのだろうか。
「優しい」ということは裏を返せば「気を遣う」ということではないか。
人に気を遣い、その人自身は疲れ、ストレスが溜まっていくこともある。
「優しい」ことが良いことだと今まであまり思ったことがない。
実際、私は人から良く優しいといわれるが、それは人に合わせ、自分の意見をあまり言わず
いつも空気を読んで相手が喜ぶ言葉をかけたり、相手のためにいつも何かする。
しかし私はいつも「人に流されやすいよね」と言われる。
「優しい」ことに対して疑念を抱いていた。
しかし祖父のその言葉を見て
優しさは、同時に人に騙され易かったり、利用され易かったりするものである。
しかし、決して悪いことではない。
優しさは同時に相手への愛情を示すものでもあると思う。
そのこと自体が持つ意味が大きい分、それをすることによるリスクも大きい。
「優しさに強い」
それから、いくら人に騙されても、利用されても
常にそれに負けないくらいの大きな愛情を
相手に優しさで注ぎたいと思った。
私は、優しい人でありたい。
これが私のたいせつにしていることである。
Nado