ナスのグラタン
子どもの頃、好き嫌いが多かった。
今はおいしく何でもいただくオトナになったのだが、子どもの頃は、あれもこれもキライという感じだった。
なす、ピーマン、里芋、トロロ、
焼きそば、ポテトサラダ
などなど。
友達の家でお昼ごはんをごちそうになったとき、インスタントラーメンにピーマンだったか、ネギだったか、青い野菜がのっていたことがあり、
これキライなんでしょ?と言われたことがある。
(なんでそのお母様は私のスキキライを知っていたのか?)
小さく切ってあるのは食べられるとかなんとか答えた記憶。
たぶん、ちゃんと食べた。
自分の家では、あまりにスキキライばかり言っているので、
どうにかして、私に食べさせようと、
母は色々と工夫をしたみたいだ。
ある日の夕飯に、大好きなグラタンが食卓にのぼった。
ホワイトソース部分を食べて、中身を見た私のショックと言ったらない!
半分に割られ、皮を剥いたナスが丸々と4つばかりグラタン皿に並べられて、
その上にホワイトソースがかけられ、
ロースターで焼かれた代物。
それはナスのグラタンであった。
食べられるわけがないじゃないか!
ナス
キライ
だよ?
こんなナスがドカーンと入っているものを食べられると思った母が信じられなかった。
どういうことよ?
誰の差し金?
父か?
今日、新年の集まりで妹に聞いたら、
そんな料理は覚えていないそうだ。
彼女はナスが好きだったから、きっとぺろりと食べたんだろうなと。
私の悲しい気持ちをおわかりいただけるだろうか?
今ではナスもピーマンも大好きだし、
自分で料理をするようになったら、
焼きそばもポテトサラダも、母が作っていたものとは全く違うものが出来上がり、
外でそれらを食べるようになって
私の作った焼きそばやポテトサラダのほうが
世の中のスタンダードであるとわかり、
私のスキキライはほとんど克服されたのだ。