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戦略人事・記事探訪:人的資本経営に真剣に取り組むべき理由(大山鳴動:何も変わらない人手不足の現状)

■賃金に焦点化しすぎている現状

2024年は多くの企業で賃上げを競っている。それは、多くの産業の波及している。

(小売業)

○ローソン、労働組合員 約2,700名の月例賃金を平均5.0%(13,190円)アップ 4月入社の大学卒新入社員の初任給は16,000円アップ
2024.3.15

ローソンの賃金引上げに関しては、昨年度に続き2年連続。また初任給についても、2年連続で引き上げを行い、2024年4月から入社する大学卒新入社員の初任給を16,000円アップさせるとのことだ。

ローソンは、月例賃金や初任給を引き上げ、年収を継続的にアップさせることで、消費の活性化を喚起するとともに、社員の仕事へのモチベーションを高めて企業の収益向上につなげ、社会に貢献することを目指していくとしている。

https://ampmedia.jp/2024/03/15/lawson-202404-up/

(食品・飲料)

○味の素 春季労使交渉で満額回答 2年連続6%相当の賃上げ
2024年3月15日

味の素は、3月7日に開いた春季労使交渉で、味の素労働組合要求金額であるベースアップ1万4千円に対し一発満額で回答し、妥結した。これにより定期昇給および制度改定を含め、2年連続で1人当たり6%相当、平均2・1万円以上となる賃上げを行う。同社では「高い目標へ挑戦する原動力において、最も大切な人財資産への投資強化によりエンゲージメントを高めていくことが企業価値の向上において不可欠。この取り組みの一環として、昨年度と同水準の6%相当の賃上げを決定した」としている。

https://shokuhin.net/94575/2024/03/15/sonota/企業活動/

こうした記事で散見されるのは「優秀な人材」の確保、モチベーションアップやエンゲージメントの工場などが謳われているニュースが多いということであろう。

しかし、これはおかしなことだ。

・賃上げは日本経済の動向とは関係ない。もちろん株価の上昇は企業の資金調達のしやすさに影響するが、現在の賃上げは2024年問題に端を発した、あるいは急激なポストコロナによる人手不足対策である。
・少子化は解決されておらず、労働人口は突然増えるわけではない。同じパイの中での人の争奪戦は解決されていない。
・したがって採用難は賃上げしたからと云って解決されない。

すなわち、賃上げしたからと云って突然既存の人材(新卒を含む)が優秀な人材になることはない。また賃金で優秀な人材が集まるのであれば、より有利な他社に簡単に移動する。

■魅力を高める施策

 賃金が採用に当たって重要な要素であることは間違いない。特に、ビズリーチなどにより仕事の価値が見える化され始めている現状の延長線上には優秀な人材の争奪戦が待っている。
 しかし、今まで「社内の人材を優秀な人材に変える」施策を行なってきていないのであれば、まずはそこに目を向けるべきである。なぜならば、能力アップが自己責任で行なうことを当然としている企業に対しては積極的なロイヤリティ・エンゲージメントは醸成されるはずもなく社員のやる気の向上、モチベーションアップは望むべくもない。

○加速する労働人口の不足。「選ばれる会社」になるための人的資本経営
2024.03.19

内閣府のデータによると、15~59歳の人口は年々減少し、2040年には2020年の6,664万人から5,180万人と約1,500万人もの人口が減少する推計です。2030年には日本の人口の3人に1人が65歳以上になると想定されていますが、人口減少のスピードは想定より早く進んでいます。

今後働き手の確保が課題となるため、会社は今から対策をとる必要があります。会社は人を選ぶ立場から、選ばれる立場に変わっています。従業員のリテンションマネジメント、採用力の強化など、より「人」への戦略的な投資が求められるでしょう。

https://mag.smarthr.jp/hr-management/business-management/human_capital_management_donyu/

 「横にならえ」の賃金アップは差別化につながらないことも自覚すべきである。
 それは何を意味しているのかと云えば、今までと同じように「普通」の人材しか集まらないと云うことである。
 今までと同じ人事制度では生き残れないと感じる。
 下記のレポートも真剣に受け止めて欲しい。

○終身雇用制度は時代遅れ?ガートナーが説く「人的資本の価値を最大化させる」人材戦略
2024/03/21

「経営戦略とIT人材戦略が連動しなければ、最終的に皆さんが採用して育成した人材が活躍する場所がない状況が訪れます」

 その上で、「多くの日本企業はこれまで中途採用に関して消極的、あるいはメンバーシップ型雇用・終身雇用を前提とした企業文化を作ってきました。人材版伊藤レポートでは、新しい企業文化を構築し、それを定着させる必要性を説いています」と説明した。

https://www.sbbit.jp/article/cont1/135782?ref=240321bittsed

さもなければ「普通の人」すら集まらなくなる。

(2024/03/21)

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