人事の問題を考える(育児休業を摂りやすくするのは企業の責任)

■きっかけの記事

○ 子供を産むといきなり二級社員になる…大卒女性より高卒男性を昇進させる日本企業の残念すぎる実態 日本は残業時間で出世が決まる世界で唯一の国である
2022/04/14

日本の会社の特徴は、次の3つです。
①大卒の男性と、高卒の男性が課長になる割合は、40代半ばまではほとんど変わらない
②大卒の女性は高卒の女性より早く課長になるが、最終的にはその割合はあまり変わらない
③高卒の男性は、大卒の女性よりも、はるかに高い割合で課長になる
問題なのは、大卒(総合職)の女性よりも、高卒の男性の方がはるかに早く課長に昇進することです。60歳時点では高卒男性の7割が課長以上になっているのに、大卒女性は2割強と半分にも満たないのです。
しかし山口さんは、これは単純な女性差別ではないといいます。ある要素を調整すると男女の格差はなくなって、大卒の女性も男性社員と同じように出世しているからです。
その要素とは「就業時間」です。そんなバカな! と思うかもしれませんが、就業時間を揃えると大卒女性は男性社員と同じように昇進しているのです。驚くべきことに、日本の会社は残業時間で社員の昇進を決めているのです。

https://president.jp/articles/-/56415

■育児休暇をためらう男性社員

残業時間が昇進に大きく影響するのであれば、いわゆる社畜と呼ばれる働き方が推奨されワークライフバランスを重視する社員は昇進が望めないことになる。

思い出されるのはカネカの事件だ。

○「育休復帰、即転勤」で炎上、カネカ元社員と妻を直撃
2019.6.3

「夫が育休から復帰後2日で、関西への転勤辞令が出た。引っ越したばかりで子どもは来月入園。何もかもありえない。不当すぎるーー」。妻の痛切な叫びが、SNSで炎上し議論を呼んでいる。

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/060300015/

会社側の言い分もあるだろう。カネカのホームページには下記の記載がある、

○元社員のご家族は、転勤の内示が育児休業休職(以下、育休とします)取得に対する見せしめである、とされていますが、転勤の内示は、育休に対する見せしめではありません。また、元社員から5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出され、そのとおり退職されております。当社が退職を強制したり、退職日を指定したという事実は一切ございません。
○当社においては、会社全体の人員とそれぞれの社員のなすべき仕事の観点から転勤制度を運用しています。育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまりますので、育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません。したがって、結果的に転勤の内示が育休明けになることもあり、このこと自体が問題であるとは認識しておりません。

https://www.kaneka.co.jp/topics/information/in20190606/ より

何が問題なのか?
まずは「当社が退職を強制したり、退職日を指定したという事実は一切ございません。」は問題のすり替えをしている。退職せざるを得ない状況は何かを考えていない。
2点目は「育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません」とあり、会社として働きやすい環境を整備していないことが分かる。

■会社側の責任を放棄してはいけない

○分割取得も可能になった「育児休業」改正ポイント
4月から法改正、男性の育児休業のハードル下がる
2022/04/14

育児休業とはその名のとおり、労働者が自分の子の育児のために取得をすることができる休みです。ただ、育児休業の取得率の推移は、女性が8割台で推移しているのに対し、男性は上昇傾向にあるものの2020年にようやく1割台に到達しただけで、まだまだ男性の育児休業取得率は低い水準となっています。
会社は労働者から育児休業の申し出があった場合は拒否できません。もし、会社が拒否した場合は育児介護休業法違反として労働局から指導を受ける可能性があります。育児休業期間中の賃金の支払いは法律で義務付けられておらず、多くの会社は無給としています。そのかわり、育児休業中は国から労働者に育児休業給付金(育児休業前の賃金額の67%。ただし育児休業開始から6カ月経過後は50%)が支給されます。

https://toyokeizai.net/articles/-/580948

ちゃんと考えよう。

<閑話休題>

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