晴耕雨読:「学習する組織」(学習する組織へのアプローチ:第13章 推進力)
■第13章で取り上げている話題
第12章では、学習する組織の要諦として、自己マスタリー、共有ビジョン、チーム学習の重要性を説いている。一方で、この章の冒頭で「学習施行の文化を構築することは、いかなる状況においても困難な仕事である。」とはじまる。
「いつの時代も自分の居心地の良い場所にいる方が楽なため、学習思考の文化を築くことは骨の折れる仕事なのだ。」
学習思考の文化を築くための戦略は第14章で記載される。
第13章は、実際の事例を元に、プラクティスとして例題を示す。
■動機付け
「学習する組織」に向かわせる動機付けとして以下を上げている。
(1)変化をまね地面血押し、変化を導く方法について優れたモデルを探求する
(2)変化に絶えず適応する組織の総合的な能力を構築する
(3)業績を大きく改善し、かつ大半の人々が心から働きたいと思うような職場を創る
この章では、それぞれに対比して、大雑把ではあるが
(1)について「変革への異なるアプローチ」で世界銀行を例に取り、ダイアログの重要性を伝えている。「彼らは、素直であること。意見の食い違いを開示すること、そして対立に言及するのを避けるのではなく、これを意図的に表面化することについて学びました。」と評価し「探求と真の志が大切だ」と締めくくっている。
(2)については「適応する組織を築く」としてフォード社を取り上げ、自己マスタリーから共有ビジョンを構築してゆくことを暗に示唆する内容となている。表面的には、変化への対応の重要性を説く。「変化のスピードについて行くことは成功には欠かせないことです。従来からのトップダウン指揮の管理という考え方では成功することはまず無理です。」として、個々人の活躍のための環境整備について述べている。
(3)については「変化に適応する組織」として、シンガポール警察を取り上げている。彼らは「警察官の仕事はやりがいのない単調なつまらない仕事で、新世代の知識労働者にふさわしい仕事でないと考えられていた」ことを改善するためのアプローチとして知識の共有などを進めて成功に導いた。「結局のところ、いかなる場合も組織の変容の原動力となるのは、そこで働く人たちです。信頼と、組織の人たちが互いにどのように関わり合うのかに焦点を当てることが、核となる成功理論の土台を形作るのです。」と結論づけている。
■業績と幸福
章の終わりに、以下のように述べている。
「業績は、より有意義で一人ひとりにとってやりがいのある職場環境を作り出すことに呼応して、劇的に改善する。」
「幸福は単に、充実した人生を送ることの副産物に過ぎない。そういう生き方をしたいと思う気持ちこそが、組織学習を動かしているものなのだ。」
学習する組織の、自己マスタリーでの個人のビジョンをどう組み立てさせるのかが重要になる。個人のビジョンが組織での共有ビジョンつながらなければ、そもそも経営組織ではない。
そのためにはどうすれば良いのかのヒントが第14章に含まれているかもしれない。
<続く>