ISO9001:2015(QMS)の認証取り消し(パナ子会社)
ISO9001:2015(QMS)の認証取り消し(パナ子会社)
■気になった記事
私自身はISO9001:2015(品質マネジメントシステム)の審査員をしている。
そうした目で見ると、ちょっと気になる記事を見た。
○パナ子会社、4工場で認証取り消し 不正受け、自動車産業向け国際規格
2024年05月20日
パナソニックホールディングス(HD)子会社で電子部品などの製造、販売を手掛けるパナソニックインダストリーは20日、電子材料製品の認証不正に関連し、国内4工場で自動車産業向け品質マネジメントシステムの国際規格「IATF16949」の認証が取り消されたと発表した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024052001137
■品質マネジメントシステム
品質マネジメントシステムとは、顧客要求事項を満たす製品を提供できる様に組織運営を行なうことを求めている国際規格である。詳細は省くが、組織運営にもPDCAがあり、規格はその維持を求めている。
当然、上記の様な不正は論外であるが、それをもって突然の認証取り消しはどうしてなんだろうと考えてしまう。
■認証取り消しの条件
一般的に、認証が取り消されるのは下記だろうか。
①審査で指摘された不適合を指定された期間内で対応しない
多くは3ヶ月以内にクローズすることを求める。仮に、解決がその期間内で出来ない(新しい設備の導入、工場や支店の多さのための対応期間の確保など)場合には”計画”でもよいので、どうするかを表明しなければならない。
再発防止策のめどが立たなければ、認証は維持できない。
もっともこの場合は{返上」が多いのだが。
②不良品の垂れ流しが止らない
マネジメントシステム(組織上の役割権限、部門などの機能構成、作業標準の浸透)がなされていたとしても、そもそも技術力が無く、顧客要求事項を満たす製品を作れないようであれば、それは経営資源が用意できていないと言うことであり、規格を満たしていることにはならない。しかし、このような場合、そもそも認証しようとは思わないだろう。
③組織の構造変化にマネジメントシステムが追いつかない
事業部門の拡大、支社や工場の増加、取り扱い製品の変更、製造技術の変更など企業を取り巻く環境が変更になったときに、マネジメントが整合された状態に維持できない場合がある。その場合、不適合が多発して①で指摘した内容になりかねない。過負荷になり返上と言うこともある。
④虚偽
記録の改竄、意図的な法令遵守違反など、審査のプロセスを毀損するような悪質な対応を企業側が行ない、そもそもの認証に意味を見いだせなければ剥奪もあり得るだろう。もしかしたら今回の認証の取り消しはこれかもしれない。
それにしても、もう少し理由が解説されないと分からない。
(2024/05/23)