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経営者の憂鬱(ロシアのGDP低下は無視して良いのか)

■単一化した世界

交通機関の発達による世界規模のサプライチェーン、情報の速度の伝搬の高速化、国家間の人の移動の自由は、市場を閉じられた空間ではなく境目のないマーケットとして成立させていると思う。

バタフライ効果(「非常に小さな出来事が、最終的に予想もしていなかったような大きな出来事につながる」)は冗談ではなく、ましてやウクライナ侵攻などといった馬鹿げた行動は予想もできないマイナス面を生み出す。

複数世界で分離していた時代では、物理的な戦争は相手から何かを奪うことで富を獲得できたかもしれないが、それはもう幻想でしかないと思っていたのだが、依然人間はその道を歩むのかと戦慄する。

■破壊からは何も生み出さない

武器商人や、戦争を他人事として利用する他国はともかく、当事者の国家に住む人たちには何ももたらさないだろう。
 ロシアには空爆はないかもしれないが、兵士は確実に死傷し、経済も疲弊して行く。

○ロシア経済、18年の規模に逆戻り-ウクライナ侵攻響きマイナス成長
2022年8月15日

ロシア担当エコノミスト、アレクサンダー・イサコフ氏は「経済は4年分の成長を失い、第2四半期に18年の規模に戻る。金融緩和に支えられ、10-12月(第4四半期)にかけ縮小ペースが鈍るとわれわれは予想する。ただ、欧州のエネルギー禁輸で輸出が抑制されることにより、23年も2%のマイナス成長になるだろう」と分析した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-15/RGMP7NDWRGG201

○ロシア4~6月GDP、5四半期ぶり減 制裁で企業に打撃
2022年8月13日

ロシア連邦統計局が12日に発表した2022年4~6月期の国内総生産(GDP)は5四半期ぶりのマイナスとなった。米欧などが科す経済制裁が、ロシア国内の企業活動や個人消費に打撃を与えている。事業停止した企業は11万社超と昨年より2割増のペースで推移する。制裁の影響を資源高で補いきれず、人材流出が一段と加速する恐れもある。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR10DBR0Q2A810C2000000/

■貧困の先にあるもの

GDPが減少してゆくと言うことは、使えるお金が減ることであり、国として貧困が進むことになる。短期的には、優秀な人材や企業が流出し、価値のない企業が国内にとどまる。結果として、そこに残る人々は搾取される対象となり、貧困の循環に取り残されるかもしれない。

労働力が安価に手に入るとなれば、付加価値のない単純労働を行なう国家になりかねない。ロシアという市場が長い目で見れば変わって行くことになる。

■経営者の憂鬱

海外に展開してる企業にとって、一体何が影響してくるのかを見極めないと突然業績を左右する出来事にぶつかるかもしれない。アフリカの食糧不足は何の影響も引き起こさないのか。EUのエネルギー不安は、大きな政策転換のきっかけにならないのか。

仮にグローバル化には縁が無い企業であっても、市場構造が変わり得るなら注視することが求められる。それは、「顧客の行動」であったり、「サプライチェーンの変化」であったり「資源の不安定さ」であったりする。

私自身は国際政治の専門家ではない。
 なので、ロシアの経済悪化が何をもたらすかは見通せない。
 それでも、無関心でいてよい理由にはならない。
 すなおに大変だなと思う。

<閑話休題>

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