ISO9001と経営:AIとITと変わりゆく現場(7.1.3 インフラストラクチャ)
個人的な興味なので、少し無理矢理感があります。
■土木工事の自動化
土木工事の自動化の議論は、かなり以前から進められており、技術的にはかなり進んでいる。はじめて、この取り組みを知ったのは10年近く前になり、当時はまだ十分な通信技術のインフラやセンサーなどもまだ未熟であり、未来の出来事になると思っていたのだが、ここに来て急激に新聞記事などに、それが実現されていることを知ることとなった。
○大成建設がダム工事で導入へ、「自律制御ブルドーザー」の実力
2023年05月26日
大成建設は土砂の押し出し・敷きならし作業を自律制御するブルドーザーを開発した。各種センサーの活用により、ダンプトラックなどから排土された土砂を検出。その位置や大きさ、形状などの情報を基に、最適な押し出し経路を自動で作成する。栃木県鹿沼市で手がける「南摩ダム本体建設工事」で、ブランケット(堤体の保護盛土)工事での導入を計画している。
あまり知られていないが、ブルドーザーをまっすぐに操縦することは意外と難しい。単にGPSを付けて、遠隔操作ができるだけでは十分ではない。これはスマート農業で使うトラクターでも同じである。個人的には、ここまで来たかという感想である。
■人材不足への対応
もともと建設・土木の自動化は、工事精度の向上や安全対策、そして特殊技能に依存する人的問題の解決が目的だった気がする。それは、国土交通省の主導で進められており、現在進行形であろう。
○建設機械施工の自動化・自律化技術
建設分野においては、既に我が国が直面している人口減少の中、他産業と比較して高齢化率が高く、建設機械オペレータはじめとする建設事業の担い手不足が深刻化しており、建設現場の生産性向上は重要な課題です。
この状況下、急速に進展するデジタル技術を活用し、建設施工の自動化・自律化及び遠隔化の開発と試験導入が、大手建設企業、建設機械メーカ、ソフトウェアベンダーを中心に進められてきています。一方、これらの新たな技術に対しては、安全や開発面での統一的な基準がなく、現場毎の安全対応、各機器・システム毎の開発となっており、より効率的な開発及び普及環境の整備が求められています。
https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/sosei_constplan_tk_000049.html
こうした取り組みはすでにできるところから進められており、例えば、測量は昔のように方向と距離を定めて三角測量の原理で図面を書くという世界から、極端な話ドローンを飛ばして自動的に3次元の図面を作成する段階に来ている。
■インフラの戦略的決定
ISO9001:2015においても、インフラに関する規格要求事項がある。
7.1.3 インフラストラクチャ
組織は,プロセスの運用に必要なインフラストラクチャ,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要なインフラストラクチャを明確にし,提供し,維持しなければならない。
注記
インフラストラクチャには,次の事項が含まれ得る。
a) 建物及び関連するユーティリティ
b) 設備。これにはハードウェア及びソフトウェアを含む。
c) 輸送のための資源
d) 情報通信技術
しかし、現在のインフラを前提とした戦略では競争力は向上しない。現在の「プロセスの運用に必要なインフラストラクチャ」では不十分である。経営力の向上の為に必要なインフラストラクチャーを整備しなければならない。
それは、老朽化した設備対応だけではない。人材不足、高度化、などの様々な課題を認識しなければ、単に座して朽ちるのを待つだけである。なぜならば、上記のような建設機械の導入は、工事精度の向上、納期短縮、人員削減による工数削減などの効果がある。それは価格競争力を生み出す。
■赤の女王仮説
「その場にとどまるためには全力で走り続けなければならない」は、進化論のメタファで雌雄の存在の必要性を説く。これは、「昨日と同じことを今日していて明日を迎えることはできない」という警告だと私は認識している。
さて、あなたはどう感じるだろう。
<閑話休題>