【死刑に至る病】

気付かない悪意に、食い殺されることのないように。

【あらすじ】

史上最悪の連続殺人鬼からの依頼―
それは一件の冤罪証明だった。
ある大学生・雅也のもとに届いた一通の手紙。
それは世間を震撼させた稀代の連続殺人鬼・榛村からだった。
「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」。
過去に地元のパン屋で店主をしていた頃には信頼を寄せていた榛村の願いを聞き入れ、事件を独自に調べ始めた雅也。
しかし、そこには想像を超える残酷な事件の真相があった―。


映画としての感想としては、魅せ方や仕掛けがとてもうまくて、そういうことか…!と大きく頷いてしまう。
見応えもあり、グロテスクなシーンや表現の上に映える阿部サダヲさんの演技が素晴らしい。
怖いのにどこか優しくて、もっともっと見たい、覗き込むと、一気に落とされるあの感覚。
キャスティングと内容のマッチが素晴らしかった。

映画を観ながらフラッシュバックしたのは、私は割と、殺人事件とまではいかないが、警察のお世話になるような事件や、またそこまではいかずとも、でも限りなく犯罪であることに巻き込まれることが多かった。
はっきりと「これは誘拐なのかもしれない」と感じたのは中学生の頃、テンプレートのように「送っていくよ」と声をかけられたことだった。
相手は車に乗っていて、大丈夫です、と断ると、車の中を見るようにと促され、見るとそこには露出された下半身があった。
他にも痴漢にあったり、変質者に合ったり、接近禁止命令が出るようなストーカー被害にあったり、犯人が分からないストーカー被害に巻き込まれることもあった。
大学生の頃、暗闇に連れ込まれて胸を触れたこともある。それについては絶対に警察に連絡しないと、と助けを求めた友達に促されて連絡し、警察車両の中で被害届の説明を受けたこともある。

今回の映画の犯罪は史上最悪の殺人事件であり、わたしが経験してきたものと比べたらとてつもないことだけれど、何が言いたいかというと、思いのほか世の中には犯罪が蔓延っている、ということだ。
人のほんの少しの悪意や我儘、理性の針がその一瞬だけ振り切ってしまった場合、罪の大きさに関係なく、犯罪はこの世に生まれ続けている。
それはいつも息をひそめ、一見人懐っこくこっちに向かってくる。気づかないうちに案外近くにあったりもするんだろう。
思い出すだけでもいくつかあげられる犯罪ではなく、例えば今回の映画のラストにあったような、潜在的に巻き込まれている場合もある、、、、と書いたところで、ほんの少しだけ周りの人間の顔色を窺ってしまった。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?