見出し画像

パラドックスやanti-fragileを呼び込むための絶対値思考

 「今月noteを書いたら○ヶ月連続更新です!」と催促の通知が来たので更新する。まんまとサービス側が狙っているユーザー行動をとっているが、これはこれでなんだか気持ちいい。敷かれているレールの上を歩む感じ。ずっとそれだと苦しいけたまにだと心地よいというパラドックス。

 パラドックスといえば最近ミミグリ安斎さんの新著の『パラドックス思考』を積読している。コンセプトが面白くて読むのが楽しみ。(まだ読めてない)
 日常生活を過ごしててもいろんなパラドックスがあると思う。例えば敷かれたレールの上をたまに歩みたくなるのもそうだし、他でも好奇心の赴くままにいろんなことに手を出したいけど、結局どこかで絞り込めなくて根無し草っぽくなっている自分に悩んでいるみたいな。

 最近読んで面白かった学びデザインの荒木さん著の『独学の地図』でもこのパラドックスの大切さが出てきていて、「学びたい!」というスイッチをどうやって入れるかは、自分の中に無自覚に存在する「矛盾(=パラドックス)」に気づくことが大事とのこと。
 自分の中の二つの相反する極があるテーマが知的欲求や探究心を駆り立てるので、それが学びのスイッチになるということでとても納得した。やはりパラドックスは大切である。

 パラドックスというワードに注目すると実は色々使われている。最近学んで面白かったのは、コンタクトセンターのサービスリカバリーパラドックスという概念。
 コンタクトセンターでは日々さまざまな問い合わせがあり、その中でお客さまが不満に感じてクレームをするみたいなケースはとても多くある。
そういった怒って電話してくるお客さまに対してコンタクトセンターの対応者が真摯に対応するとそのお客さまは逆にファンになるというものがサービスリカバリーパラドックスで、お客さんが怒っている裏側にはその対象に対する期待があったり本当は好きになりたいという感情的な矛盾があったりするのが人間の特性らしい。そこが丁寧な対応によって一転してファンになるのだ。人間の心理を著しているようなめっちゃ面白いパラドックス。

 このコールセンターのサービスリカバリーパラドックスは別の表現をすると反脆弱性(anti-fragile)という概念にも似ている。
 反脆弱性の意味としては、「外乱や圧力によって、かえってパフォーマンスが上がる性質」例としては炎上商法。炎上して逆に商品が注目されたりバズるのは、まさに反脆弱性。
 脆弱のストレートな反対語としては、頑丈とかなんだけど、頑丈なことよりも反脆弱であることの方がとても大事だったりする。
頑丈は元々それなりの強度を持っててダメージを受けなかったり何かを受けても現状をキープできるってことだけど、反脆弱はダメージを受けてさらによくなるという感じ。感覚的には受けた衝撃を逆に反動の勢いにするみたいなのが反脆弱でこれは頑丈だとできない。一見評価の高い耐久力とか頑丈さを時に反脆弱であることがそれらを超越することもある。

 ここまで書いてきた事例をもとにしたパラドックスや反脆弱性と言う概念などはとても大事そうなことは理解しつつも、どこかでそれらを抱えることでソワソワしてしまうこともあるのではないかと思う。パラドックスを意識的に抱えられて健全に過ごしている人は特別な訓練や経験が必要と思う人もいるかもしれない。そこまで筋肉質ではない自分もたまにそう感じる時もある。

 しかしそんなパラドックスを肯定できるいい思考法をここ数年編み出した。それが絶対値思考というマインドだ。

 昔誰だか忘れたがそれなりのインフルエンサーが「アンチよりも無関心が怖い」と言っていたのを覚えている。アンチの方が関心はあるわけで、何かの拍子にファンになったりすることがあるということを認識しており、逆に無関心層にファンになってもらうのが難しいということである。
 これを見た時に自分の中ではプラスでもマイナスでもない絶対値が大事だなと理解した。「絶対値」とは「0からどれだけ離れているかを表す値」という意味で、マイナスもプラスも符号が関係ない値である。
 絶対値思考を持っておくことで何かとてもマイナスなことがあってもいつかプラスに転じるかも、、というポジティブ変換が可能で、気軽に失敗したりリスクをとれたりするんじゃないかと思っているし、逆に失敗を恐れて何もしないことはマイナスでもプラスでもない0の状態でこっちの方が絶対値思考的にはちょっと嫌な感じだったりする。
 一時点的な捉え方をするとプラスかマイナスかの「符号」に目がいってしまうが少し俯瞰して長期的に考えたりして心を穏やかにする手段がこの絶対値思考だとも思う。

 「パラドックスは大事」というフレーズには括弧書きで(ただしマッチョで戦闘力のある人に限る)なんてワードがセットになってしまうのは悲しい。もっといろんな人が絶対値思考を添えて積極的にパラドックスと向き合うことで世の中がいい意味でカオスになって楽しくなる気がする。

 つらつら書いてたらまあまあいい時間になってきた。圧倒的夜型人間で夜の方が色々捗る自分だが、夜は寝る時間なのに起きているというパラドックスを噛み締めることで原動力となっているのかもしれないな。。とか考え始めてきたからそろそろ寝よう。noteよ、来月もリマインドよろしく!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?