イラストは商標登録できます
こんにちは!元中小企業弁理士のnabです。本日は、イラストは商標登録出来ますというテーマで、イラスト創作に関する3つの法律の違いについてお話していきたいと思います。最後までお付き合いください。
記事の表示画像は、みんなのフォトギャラリーからいただきました。ソエジマケイタさんありがとうございますm(__)m。
商標登録の対象は、文字だけではありません。商標には、図形商標というものがあります。実際、登録されている図形商標をピックアップしてみました。
(1)イラストを商標登録するメリット
イラストを商標登録しておくメリットは、なんと言っても、模倣抑止の効果が高い点です。
商標権は、審査を経て登録されます。マネしている業者は、商標権者から権利行使されたら、よほどのことが無い限り、商標権の無効を唱えることが出来ません。
しかも、登録商標は、インターネットで閲覧可能ですから、商標調査の段階でも、模倣抑止効果を発揮します。立証も容易です。
しかし、商標権の行使は、以下の制限があります。
①商標が使用されている場合に限られる。
②商標が指定商品に使用されている場合に限られる。
これからは、主に「①商標が使用されている場合に限られる」についてお話させていきたいと思います。
※②については、別記事をご参照下さい。
(2)商標の使用とは
商標は使用されていないと、権利行使ができません。商標の使用とは、例えば、商標を商品に付ける行為で、例えば以下のような場合です。
アップルのマークの付いたPCを見た人は、「あ。このPCはアップルが販売しているものだ。」と出所表示に気付くと思います。
この使い方は、商標の使用です。需要者は、アップルのマークによって、「私はアップルの製品を使っているんだ」という出所を確認すると同時に、ステータス(一種の優越感)を得ることができます。
商標の使用とは、商標を「マーク」として使用している場合と言えます。
(3)商標の使用の例外
一方、下のTシャツのイラストは、商品(Tシャツ)のデザイン(柄)として使用されており、Tシャツの出所表示の為に用いていません。
商標を「デザイン」としてのみ使用している場合は、商標を使用しているとは言えません。
このイラストの使い方は、商標の使用にならない場合があります。商標権が使えない場合、意匠法、著作権など他法域での処理になります。
このTシャツを意匠法で保護する場合、マーク的な使用でも、イラスト的な使用でも権利行使ができます。
しかし、意匠法は、意匠出願時に、物品を「Tシャツ」と指定します。意匠登録となった場合に、意匠権者は、このイラストをTシャツ以外の物品で実施している他人に、権利行使できません。
著作権では、物品・Tシャツではなく、イラストに創作価値を認めているため、Tシャツ以外の物品へ複製する他人に対して、権利行使が出来ます。
しかし、著作権は、登録制度がないため、イラストなどの著作物の創作を自分で立証しなくてはなりません💦著作物の立証方法は、別記事でご参照ください。
(4)まとめ
本記事で触れた商標・意匠・著作権の特徴を以下にまとめました。
商標権は、登録制で立証しやすく、強い模倣抑止効果を持ちます。しかし、権利行使は、指定商品に使用している場合に限られます。
意匠権は、商標法と同様に、登録性で立証はしやすいです。しかし、権利行使は、指定の物品を実施している場合に限られます。
著作権は、無登録制で、立証が難しいです。しかし、権利行使の対象は、商品・物品などの限定がありません。使用態様について、マーク的な使用にも、デザイン的な使用にも、権利行使が出来ます。
イラストの創作した場合には、これらの法律の特徴を知り、適切な権利保護を行って下さい。最後までおつきあいいただきまして、ありがとうございましたm(__)m
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