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力強い言葉とともに <始まりの木>

抜け道や近道という方法もあるけれど、王道を歩く人になりたいと感じる本をご紹介します!🌻🌳

始まりの木 著者:夏川草介さん

大学の助教授で民族学者の古屋神寺郎と大学院生の藤崎千佳のフィールドワークの旅。古屋の偏屈で毒を吐くような言い方で2人の会話はいつもケンカ腰のようになります。しかしながら、古屋は胆力と人の心を感じ取る力を持つ千佳を認めていて行きたい場所があると、「藤崎、旅の準備をしたまえ」と告げるのです。

第三話で古屋と藤崎は長野を訪れることになりますが、古屋のファンという永倉教授が藤崎に“なぜ民俗学を学ぶのか?”と声をかける場面があります。すぐ答えられなかった藤崎にこう言います。

「あなたの学ぶ民族学も私の専門の言語学も一円にならない学問だけど、通帳の残高が人生のすべてを決定するわけではないわ。世の中には、いくらコインを積んでも交換できないものが結構たくさんあるものなのよ」

そして、この永倉教授こそが古屋が学内での立場が危うくなっていたのを助けてくれることに・・・

神はたとえ目には見えなくても人とともにあり、人とともに暮らす身近な存在である。

神と自然、そして学問というテーマを古屋と藤崎の師弟関係をとおして、やさしく語りかけてくれました。


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