買わない豊かさ
先日、久々に京都の恵文社さんに立ち寄りました。
恵文社さんは本屋なのですが、可愛い文房具や生活雑貨なんかも置いています。
生活系の雑誌や本を立ち読みすると素敵な生活に感化されるのか、ついついいつも本以外にも、買い物してしまいます。
その日に手に取ったのは、洋服のパターン(型紙)でした。
MERCHANT&MILLSというイギリスの縫製小物などを出している会社のもので、表紙の素敵なパンツの写真に惹かれて思わず手に取ってしまいました。
こんなパンツが作れるのなら久しぶりに洋服を作ってみようかな〜と、
頭の中では好きな生地で作ったパンツを履いてファッションショーが始まっていました。
もともと、洋服が大好きなわたし。最近は流行り物には興味がないけれど、買うなら10年後でも着ていられるようなシンプルで上質な洋服を好んでいました。
けれどそんな服の多くは決して安くはなく、ポンポン好きな時に買えるほどの財力も残念ながら持ち合わせていないので、材料費だけで素敵なパンツを手に入れられる!と夢見心地。
しかも幸いにも、学生の頃には服飾を学んでいたりしたこともあり、知識とミシンなども道具も揃っています。
後日、名古屋の大塚屋(生地屋)に行き生地選びです。
地下1階から4階までのビルに生地や裁縫の材料がびっしりと並んでいます。
今回は作ったらすぐに着たかったので、夏もののリネンやコットンの生地を中心に探しました。
このリネンの生成り生地で作るなら、あの籠バッグと合わせようか?
いや、この太幅ストライプ生地でシンプルな白Tと合わせるか?
沢山の生地を目にすると、ますます完成した時の妄想が広がり楽しくて仕方ありません。
普段は無地の服を選ぶことが多いので、せっかく自分で作るのだからちょっと攻めてみようと思い、少し柄の大きめな黒のギンガムチェックの生地を選びました。
その他にも紐などの材料を揃えて、あとは作るだけです。
購入したパターンは沢山のサイズが書いてあったので、自分のサイズをトレースする所から始めました。夫の分と2着を同時に作ったのですが2日くらいで完成しました。
小さなパーツを縫い合わせて形になっていく様子は、ジグソーパズルを組み立てるのに似た楽しさがあり、夫には申し訳ないのだけど、その2日間の家事は全て時短優先!お風呂やトイレの時間も惜しいと思うほどに、作る時間が楽しくて仕方ありませんでした。
わたしは久しぶりに何かに没頭する感覚を思い出したのでした。
完成した服をすぐに試着して鏡の前でポージング。笑
パターン(型紙)が良かったので、シルエットのバランスもとってもいい感じです。これから、どう着こなすか?どこに着ていくか?楽しみで仕方ありません。
ただ、服を買うだけでも選ぶ楽しさや着る楽しさはあるのでそれはそれでもちろんいいのだけれど、普段買うものを作ることで材料を揃える為に出かける楽しさ、選ぶ楽しさ、そして作る楽しさ、それを手間と捉えるか?楽しみと捉えるかはもちろん人それぞれあると思います。
けれど今回わたしは服を買わない選択をしたことでこんなにも楽しみが広がった事をとても嬉しく感じました。
世の中には沢山のいいものが溢れているけれど、それを手に入れて生活することだけが豊かな生活なのでしょうか。
買うことの手前にある扉に気づきそれを開くと、そこにははまた違った景色が広がる。
買えるということは幸せだけれど、買えない(買わない)にも幸せは存在します。それを知っているだけでも軽やかに今を生きれる様な気がします。