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【JICA海外協力隊】129/730日目「ついにウォッチマンからお金をせびられた話」

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こんにちは。JICA海外協力隊 2024-1次隊のなべみです。

本日もなべみの記事にアクセスしていただきありがとうございます。


今日は大切な同僚の最後の出勤日でした。

先週に引き続き、なべみの大切な同僚がまた一人いなくなることに。

本当に寂しいし、彼女はいつも私を助けてくれました。

右も左も何もわからないなべみにいつも救いの手を差し伸べてくれました。

それはなべみだけでなく、他の同僚たちに対してもそう。

彼女は誰に対しても分け隔てなく接してくれました。

私は彼女の同僚でありながらも、彼女の大切なお友達になれたかな。そうであることを願います。


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というわけで、今回は先日我が家のウォッチマンからお金をせびられた話を綴ろうと思います。

今日も最後までお付き合いいただけると嬉しいです。


配属先の駐車場にいた猫ちゃんがおやつを貪り食っていました。フサフサの毛並みとおやつに夢中な様子が可愛すぎました。





ドアの隙間にあったウォッチマンからの手紙

ある日の朝。ベッドルームのドアを開けたら玄関のドアの下に一枚の紙が。

何かと思い見てみたらそれはウォッチマンからの手紙でした。

読んでみるとこんな内容が。


あなたはいつも忙しそうで友人と電話をしていることもあるので、あなたに直接話すことができないため、この手紙を書きます。

私はあなたの護衛(ウォッチマン)です。あなたに聞きたいことがあります。私は農民ですが、家族に良くないことが起こりました。物価高騰のせいでお金が足りなくなりました。10万クワチャ(日本円で10,000円)が必要です。可能であれば私にお金を貸してくれませんか? 返済に時間をください。もし無理でも心配しないでください。他の方法を探します。


これを読んでなべみが思ったこと。

「ああ、ついに私もウォッチマンにお金をせびられる立場になったか」


最初は失望。でも彼の立場を思うと

道端で近所の人からお金や食べ物を要求されることはよくあります。

例えば「ハングリー、ママ(ご飯)」と言われたり、すれ違いざまに挨拶ではなく "Give me 100,000 kwacha(日本円で約10,000円)" と言われたり。

そういうのは普段親しく接することのない近所の人だからこそスルーできるもの。

しかし毎晩護衛のために家に来るウォッチマンにお金を要求されるのは、正直気分が良くないし、なんならちょっと失望する。

本人はお金を「借りる」と言っているけど、私は「お金を貸す=もう戻ってこない」ものだと認識しています。

だからこそ気軽に「お金を貸して」と要求してくることに対してちょっとモヤモヤしちゃうわけです。


でも、彼の思いをよく考えると?

彼は本当にお金に困っているんだと思う。その気持ちはわかった。

彼の苦しい気持ちに寄り添うことはできても、彼の「貧しさ」という正確な状況は、私には正直わからない。

マラウイでは困った人に手を差し伸べることは当たり前のことだとされる文化が根付いています。

「でもそれは助けてもらう側の人が助ける側に要求することなのかな?」と、私の考えでは思うところもあります。

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もしかしたら彼は私にお金を要求しなければならないほど苦しい思いをしているのかもしれない。

私とウォッチマンとの間には、厳密には金銭の授受が発生していません。

なぜかというと、JICA事務所がウォッチマンの派遣会社に、私の家にウォッチマンを派遣するように要請しているからです。

JICA事務所が派遣会社に警護分のお金を支払い、派遣会社がウォッチマンに給与を支払っているシステムなのです。

だから本来私はウォッチマンにお金を払わなくていい立場なんです。


そんなことを色々考えていたら自然と涙が出てきました。

ウォッチマンとしての給料では足りないほどお金に困っているのかと。

私はボランティアとはいえ、十分すぎるほどの生活費を毎月もらっている立場。

私がこの人の状況を思って泣くことはもしかしたら失礼なことなのかもしれない。

でも溢れる涙を止められなかった。

この世界はなんて残酷なんだ。

この格差は一体なんなんだ。

考えれば考えるほどつらかった。


率直な思いを話し合った

でもここは私も心を鬼にしなくてはいけない。

私には私の立場がある。

「かわいそう」という気持ちだけでお金を貸すことは絶対にできない。

そう思って、ウォッチマンが出勤してきた時に私の思いを正直にぶちまけました。以下はその意訳です。


昨日の手紙読んだよ。あなたが今の生活に困っていることはよくわかった。でも私はあなたにお金を貸すことはできない。理由は2つ。

一つは私の立場。私はボランティアとしてここに来ている。あなたの会社の給料事情は私にはわからないけど、私はあなたのように会社から給料をもらっているわけではない。だから私はお金持ちじゃない。それにあなたにだけお金を貸さないわけじゃなく、私は誰にもお金を渡したり貸したりしていない。私はボランティアとして、関わる人全員に対してフェアでありたいし、いい関係を作っていきたい。だからあなたにお金は貸せない。

二つ目は私たちの関係性。私たちの間にお金を介在させてはいけないと思う。なぜならお金は人間関係を壊すと思っているから。いい人間関係を作ることはお金よりも大事だと思う。今私たちの間で絆が生まれているのは、私たちがこれまで時間をかけて私たちの関係性を大切に育ててきたからだよ。ここで私たちの間に金銭の授受が発生したら、私たちの関係は一瞬で壊れると思う。だから私はあなたにお金を渡したくない。

私はあなたがここで素晴らしい仕事をしていることを知っている。毎日玄関の掃除をしてくれるよね。しかも私が頼んでいないのに窓の拭き掃除もしてくれているよね。しかもあなたは大家の家族ともコミュニケーションを取りながらいい関係を作っている。私はあなたが頑張っているところを実は見ているよ。あなたは本当にいい仕事をしている。

もし本当にお金が必要なんだったら、私ではなく他の人にお願いした方がいいと思う。私の「お金は渡さない」という意志は今までもこれからもきっとずっと変わらない。だからごめんなさい。


私だけでなくウォッチマンからも率直な思いを聞くことができました。

そして今回は金銭の授受はしない方向でお互いに合意しました。


やっぱり話すって大事だなと思いました。

特にうちのウォッチマンはおしゃべりなので、お互い本音で話せる機会が好きみたいです。

最初こそ、ウォッチマンという比較的私と近い立場でありながらお金を要求してくることに対して失望の気持ちがありました。

ですが経済的側面・文化的側面から見た彼の立場を考えれば、こうやってお金を要求してくるのも無理はないな、と思いました。

ウォッチマンから大切なことを学んだ気がします。


あとがき

本日もお読みいただきありがとうございました。

今回は、ウォッチマンからお金をせびられた話について書き記しました。

実はこの記事を書いている間、ウォッチマンが家に来て今度は食べ物を要求してきました、、笑

「お腹が空いている」と。

まじかよ〜〜〜という気持ちがありつつも、丁重にお断りしました。

お互いにバックグラウンドとなる文化が違うからこそ、しっかり言葉にして伝える大切さを実感しています。

言語化と異文化理解の訓練になっている気がします。


というわけで本日はここまで。

いつもなべみの記事をお読みいただきありがとうございます。

また明日お会いしましょ〜👋👋👋





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