見出し画像

「GE帝国盛衰史」を読む3 ー錬金術とコングロマリットの弱点ー

「第6章同時多発テロ」から「第10章買収と売却」の最後まで2。そうこうしている間に有名なエンロン破綻が起きる。この結果、複雑な会計処理に対する規制が厳しくなり、GEの業績への疑念が生まれた。ウェルチ時代なら当然のように行っていたような「GEからある事業を買収する企業にGEキャピタルが一部融資を行い、買収させた売却益を計上するような手法」にも疑いの目が向けられるようになった。

そのような手法で工業部門の業績の落ち込みをカバーしようとしながら、一方でイメルトは大規模企業買収を続々と行った。それはコングロマリットであるGEの複雑さを更に増やす結果になった。いくら人材が豊富なGEといえども限度があるのではないかという疑念とイメルトは企業を高値で買いすぎるため財務状況悪化させているという批判も生まれた。部下の自重すべきという意見は取り上げられなかった。

この辺りの話は全く知らなかった。それにしてもなぜGEは工業部門の建て直し全力を注がなかったのだろうか。最も工業部門建て直しは短期的視野で成し遂げられるものではなく(と私は思う)、人事上の評価制度が短期の利益金額によるようなものではそもそもできなかっただろうが。。個人的には、本書を読んだ感じではもう一つ、コングロマリットにありがちなマトリックス的な組織にも問題があったのかも知れないとも思う。ここは想像でしかないが、、。

いいなと思ったら応援しよう!