ヌクミ
分かってる。
分かってる。
被曝してること。
放射能が漏れたこと。
原発が爆発したこと。
原発を必要とする社会になったこと。
分かってる。けれど望んではいけませんか。
全部無かったことにできるのなら、
全部嘘だと言ってくれたなら、
明日には不安が消えて、笑えるのでしょうか。
みんなで輪になって、これからの暮らしを豊かにできるのでしょうか。
わたしも笑ってオリンピックを応援して祝えるのでしょうか。
明後日には帰ってこれるだろうと家を出たきり、
あの家での日々は2011年3月11日で止まっていて、もしかしたら今まで歩んできた8年という歳月は
夢なのかもしれない。
目覚めた時、あの日の続きが待ってるかもしれない。
13歳だったわたしが明日また、嫌いな学校に当たり前に通ってるかもしれない。
それを望んでるわけじゃないんだけどね。
もう8年の間にたくさんの人と出会ってしまった。
その人たちと別れたくないから、あの日に戻らなくていい。
ただ一つ、原発さえなかったらとは思い続ける。
明日には原発のない社会になったらなと思う。
なんでか言葉が出てくる。
わたしの中に常にある虚しさ故の虚しい言葉たち。
空っぽになった魂が双子を探してる。
あなたに会いに行きたい。
明日を笑って過ごせないかもしれないけれど、たしかに暖かいこの手を離せはしない。